『お姉ちゃんになるんだから、もうママに甘えてばっかりじゃあダメよ』

初めてママにそう言われたのは、まだ私が一人ではパジャマのボタンも留められないような年齢のときだった。ママの大きなお腹の中に妹が居たときだから、たぶん、3歳のとき。

『お姉ちゃんなんだから、頑張って』
『お姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい』
『お姉ちゃんなんだから、妹に譲ってあげて』
『お姉ちゃんなんだから、妹のお手本になってあげて』

それから10年以上経つけど、この言葉は何千回と繰り返された。まるで、その言葉を言わなきゃ死んでしまうみたいに。その頃は素直にそれを正しいことなのだと信じていたけれど、ただ単に都合が良い言葉だっただけだと今ならわかる。これさえ言えばママは私に我慢させて、妹を甘やかすことができる。ママにとっての魔法の言葉。だって、あの子には『妹だからお姉ちゃんの言うことを聞きなさい』なんて言ったこと、一度だってなかったんだから。
妹はわがままな子だった。わがままなんて言葉じゃ可愛いほど。やれお隣のチューリップを引っこ抜いただの、クラスメイトのジャックのクレヨンを取っただの、ご近所のペットのウサギの耳を引っ張っただのと、妹の周りにはトラブルが絶えない。私がどれだけ素晴らしいお手本を示してみせたところで、あの子がその通り真似をしてみせたことは一度だってなかった。

レイチェルが同じ年の時はこんな風じゃなかったのに」

妹が他の子からお菓子を取らないようにキャンディーを与えながら、ママは溜息を吐く。そうして、あなたは「いい子」で助かるわと苦笑する。妹みたいにわがままを言わずに、癇癪も起こさないで、このまま扱いやすい子供で居てちょうだいと、釘を差す。
膝の上で本を読んでほしかったけど、そこには妹が乗っかっているから私はまた我慢するしかなかった。私が5歳のときにはもう一人でベッドで寝ていたし、抱っこもねだらなければしてもらえなかったのに、妹は未だに赤ちゃんみたいに四六時中ママにひっついてばかりいる。ママもそれを叱らない。

私は決して、ママが言うような「いい子」なわけじゃなかった。

大声で泣きたいときだってあったし、カーテンを引きちぎって床を転がりたいときもあった。ショーウィンドウの前でこれを買ってとママのコートを引っ張って動きたくない時もあった。でも、『お姉ちゃん』だから、あの子が先にそれをしてしまうから、私にはできなくなってしまう。
だから私は大人しくて、聞きわけが良くて、わがままを言うこともなくて、わんわん泣き出すこともなくて、妹が私のぬいぐるみをボロボロにしても怒らなくて、言われなくても歯を磨いて、ママの料理を手伝って、自分で服を畳んで、先生の言うことをよく聞いて、宿題もちゃんとする。ママやパパにとっての「いい子」だった。
いつからか、窓ガラスが急に割れたり、まだ新品の時計がいきなり壊れたり。泣きたい時や腹が立って仕方がないときに、ぐっと飲み込んで我慢すると奇妙なことが起こるようになったけれど、妹に夢中のママは気がつかない。だから、学校では気味悪がられて友達が居なくなっても、私はママの中では「いい子」のままだった。
私は泣かなかった。私が泣いたってママは来てくれないんじゃないかって疑問の答えを、わざわざ確かめたくなんてなかったから。ママにとっては、「いい子」の私よりも、わがままな妹の方が可愛いんだなんてこと、気づかずにいられるほど私は馬鹿じゃなかったから。
聞いたこともない学校からある日いきなり手紙が届いて、家族と離れ離れになることになっても、やっぱり私は泣かなかった。むしろもう、妹のために我慢しなくていいんだと考えると、ほっとした。泣いていたのは、私も魔法使いの学校に行くとテーブルクロスを床に引きずり落とした妹の方だった。割れた瓶から零れた苺ジャムが、妹のストラップシューズに踏みつけられて白い壁へと飛び散る。わざわざ私のために説明に来てくれた教授の薄紫色のローブにも。ママはそれには気づかないのか、「この子は手がかかって」といつものように笑ってみせる。結局ジャムの染みは教授の杖の一振りで綺麗になったけれど、その奇妙なものを見るような視線の中で、私は消えてしまいたいくらい恥ずかしかった。

率直に言うならば、私は妹が大嫌いだった。妹が世界中に迷惑をかけていると知っていてそれを甘やかすママのことも、たぶん本当は嫌いだった。

けれどそう口にしたら『お姉ちゃんなのに妹を可愛がらないなんて』とまた私が悪者にされるから、言葉にしたことは一度だってなかったけれど。
真新しい学用品の詰まったトランクを持って、真紅の汽車に乗り込んだ時、私はあの犬よりも躾のできていない生き物の世話を焼かなくて済むのだと思うと、心底解放された気持ちだった。プラットホームに置き去りの妹はまだ駄々をこねて恨みがましい目でこっちを見ていたけれど、クリスマスまでは会わなくて済むのだと考えればいつものように機嫌を取ろうと骨を折る気にはならなかった。
もしかしたら3年後、妹も同じようにホグワーツに行くことになるかもしれない。けれど、少なくともそれまでの私は自由なのだ。嬉しくて踊りだしたいような気持ちだった。

期待を胸に入学したホグワーツ。けれどそこでも、私にとってはまた我慢の連続だった。

マグル生まれだからって魔法族の子達から馬鹿にされる。魔法界の常識なんてわからないから、友達との会話が噛み合わない。授業の内容が今までやっていたこととは違いすぎて、落ちこぼれてしまうかもしれない。
誰かに聞いてほしい悩みはたくさんあったけれど、私は「手のかからない子」で居なきゃいけなかったから、そんなことママには相談できない。それに学校の話を出すと妹が癇癪を起こすから、クリスマスに家に帰った時も、何にも話せない。結局、11歳の夏が来てもあの子にはふくろう便が届かなかった。
家でも学校でも落ちける場所なんてなくて、相談できる相手も居ない。マグル生まれと微妙な言う立場での身の振り方も、友人との関係も、勉強も、自分1人でなんとかするしかなかった。
学校では家族とは仲が良くて円満だと言う振りをして、家では学校では何もかもうまくいってますよと言う顔をする。
そうして5年目の夏が来た頃、私のローブの胸には銀色のバッジが光るようになった。学校と言う狭いコミュニティにおいては、見下して来る奴を黙らせるは成績を上げるのが一番だと気がついた結果、いつしか私の名前は成績上位者に連なるようになっていた。優秀な人間として頼られるようになったことで、友人関係にも恵まれた。
自分はなかなか上手くやっていると信じていたし、周囲からもそう見えているだろうと思っていた。事実、そう言ったニュアンスの言葉をもらう機会は多かったように思う。
しかし。

「そんなに無理して、頑張らなくても大丈夫だよ」

私と同じくして監督生に選ばれた男に言われたのはそんな言葉だった。別に私が死ぬほど重い荷物を運ぼうとしたとか、明け方3時に監督生の見回りをしようとか、そんな無茶をしようとしたわけじゃない。ごくごく普通の仕事中、何を意図した発言かなんてその時の私にはわからなかったが、とにかく彼はそう言った。

「もっと、肩の力を抜いてもいいんじゃないかな。……余計なお世話かも
しれないけど」

そうして、ごめんねと軽い謝罪を口にして困ったように眉を下げる。
正直、何だこいつはと思った。知ったような口を聞くなと、怒鳴りたい衝動に駆られた。けれど、長らくその衝動に身を任せてしまう術を忘れてしまった私は、やっぱり曖昧に微笑むことしかできなかった。
同寮生だから当然それなりに会話したことはあるし、第一彼は有名人だったからわざわざ知ろうと思わなくても彼に関する噂話は山ほど入って来た。
けれど、2人きりできちんと話をしたのは初めてで────それまでの「いかにもハッフルパフらしく善良と評判の同級生」と言う印象は、一気に「苦手な奴」まで下降した。私のことをよく知りもしないくせに、一体何なのだ。
そう腹を立てる一方で────心のどこかで、嬉しいと感じている自分が居た。そう。私は、彼にそう言われて、嬉しかったのだ。
母親の愛に飢えていた5歳の私が、ようやく見つけてもらえたような。背伸びばかりを強いられて、虚勢を張って生きてきた15歳の私に、気づいてもらえたような気がして。
苦手だから、避けるようになって。彼の存在を意識して。いつしか、彼を視線で追うようになって。

私が彼に────セドリックに恋をするまで、そう時間はかからなかった。

 

 

ワールドエンド

 

 

「『貴方が居ないと生きていけないの』」

わざとらしく瞳を潤ませる。頼りなげに胸の前で手を組んでみせて、熱っぽい甘ったるい声。セットもスポットライトも何もない、ただの床。舞台は何の変哲もない空き教室の真ん中で、それでもたった一人の観客であるセドリックは、素直に拍手を送ってくれた。

「今度は何の台詞なんだい?」
「来年やる予定の劇の原作の小説。アリシアは大絶賛してたけど、正直私には合わなかったわ。図書室で借りた本じゃなかったら、そのままゴミ箱に直行ね」

ふう、と溜息を吐く。魔法界ではベストセラーらしいけれど、どこかで見たようなありふれた話だ。カビの生えたような古臭いラブロマンス。マグルの小説だったとしたらきっと書評は散々なものだろう。実際の恋人が相手ならば、少しはヒロインに感情移入できるかと思って台詞を言ってみたけれど、やっぱりさっぱりわからない。

「恋人に依存し過ぎの女ってどうかと思うわ。テーマも、『永遠の愛』だなんて。安易だし、嘘くさい」
「まあ、物語だしね」
「出会ってたった3日くらいなのよ? それなのに、こんな風に、人生全部貴方に預けますなんて。重すぎるし、甘ったれにも程があるわよ。私がヒーローなら、そんな女絶対選ばない」

遠慮なく好き勝手こき下ろす私に、セドリックが苦笑する。けれど実際、そう思っていた。自分が居ないと生きていけないなんて、そう言われて恋人の方は嬉しかったんだろうか?
頼られている、そんなに想われているのだと、舞い上がるんだろうか? わからない、と首を振ると、セドリックがくすりと笑う気配がした。

「……主演がそんなことでいいの?」
「よくないわよ。だからちゃんと本番までには役になりきるよう努力するわ」

からかうような言葉に、眉を顰める。自分の演じる役にイライラするなんて言うのは大変よろしくない。ラブロマンスなのだから、現実味なんて考えなければいいのだとわかってはいるのだ。自分でも捻くれているなと言う自覚はある。アリシアみたいに、素直に感動できたのならよかったのだけれど。

レイチェルは逆に、もう少し甘えてくれてもいいと思うけどね」

セドリックがそう言って、穏やかに微笑む。可愛げがないと言う意味かとも思ったけれど、わざわざ皮肉を言うような人じゃないのはわかっているから、たぶん心からそう思っているのだろう。優しい言葉をかけてもらっているのに、なぜだか気まずくて、ばつの悪さに視線を逸らした。

「……もう十分、甘えてるわ」
「そうかな」
「……性格的に、無理なの。前も言ったでしょう」
「うん。知ってるけど」

実際、セドリックにはかなり甘えていると思う。今だってたぶんセドリックが相手じゃなかったら、あの本のことだってこんな風に批判したりしない。アリシアに感想を聞かれたら、きっと「ロマンチックすぎて、私には合わなかったみたい」と苦笑するだけだ。セドリックには、随分嫌なところも見せているし、感情を曝け出していると思う。それって、甘え以外の何だと言うのだろう。沈黙が落ちる中、セドリックがじっと私の顔を見つめているのに気づいた。

「……キスしてもいい?」

真剣な顔をするから何を言われるのかと思ったら、セドリックの口から出てきたのはそんな言葉だった。恋人同士と言う関係性を考えれば、あまりにも他愛のない要求に、ほっとしたような、拍子抜けしたような────そして照れくささに、じとりとセドリックを睨み上げる。

「……わざわざ聞かないで。これも、何度も言ってる」
「うん。ごめん。でも、レイチェルが嫌なら、無理にしたくないから」

セドリックはのこう言うところが、ずるいと思う。
私を恥ずかしがらせるためだとか、困らせるためなら、もっときっぱり、やめてって言えるのに。本当に私のことを思って聞いているのがわかるから、強く言えなくなってしまう。セドリックはいつだって、誰よりも私の気持ちを考えてくれるから。嫌だなんてこと、あるはずないのに。

「……いいわ」

素っ気なくそう言って、そっと目を閉じる。音もなく、唇に熱が触れた。
優しいキスをするなと、いつも思う。セドリック以外の男の子とキスしたことなんてないけれど、全ての男の子がきっとこうじゃないだろうってことくらいは、私でもわかる。頬に触れる手が優しい。髪を撫でる手も優しい。いつだって、隠していた宝物に触れるみたいに、私に触れる。

『君のこと、ずっと気になってたんだ。よかったら、僕の恋人になってくれないかな』

付き合うきっかけは、彼からで。顔を真っ赤に染めて、俯いて目も合わせてくれなかった。あの時から、何も変わらない。大事にされているなあと、じわりと幸福感が胸を満たしていく。セドリックに抱きしめられていると、肩の力が抜けてしまって、意地を張るのが馬鹿げていると思えて来て。小さな5歳の女の子に戻ったみたいな、そんな気持ちにさせられる。
どうしてあんなことを言ったのと、付き合い始めてすぐの頃に聞いた。
いつも無理しているみたいで心配だったと、セドリックは頭を掻いて苦笑してみせた。何でもかんでも一人で抱え込もうとしすぎるよと言われて、戸惑った。だって、どうしたらいいかわからなかったから。頼れる人が居なかったら、そうするしかなかった。じゃあ僕を頼ってよと、セドリックは笑った。
もう十分甘えているのに。これ以上、なんてあまりにも贅沢だ。

「……明日がとうとう、最終課題ね」
「うん。……正直、すごく緊張してる」

足りない酸素を求めて、浅く息を吸う。硝子越しに見える空はすっかり暗くなっていて、もう夜が近いことを知った。こんなところに居ていいの? そう聞こうか迷って、やめてしまった。心配する気持ちもある一方で、私が彼を独占していることへの嬉しさもあったから。大切な時間だからこそ、セドリックが許してくれるなら、もう少し一緒に居たい。ほら、やっぱり私はわがままだ。

「セドリックなら、きっと優勝できるわ」
レイチェルに言われると、本当にそうなるような気がするよ」

けれど、彼を応援する気持ちがあることも事実で。お世辞なんかじゃなく、心からの言葉だった。セドリックならきっと、優勝できると思うし、そうなればいいと思う。勝敗なんて本当は何だっていいけど、彼が嬉しいなら、私も嬉しいから。にっこり笑ったセドリックは、でも、と表情を曇らせた。

「でも、もしも……皆にみっともないところを見せたら、どうしよう」
「そうなったら、今のファンが居なくなって、私だけのセドリックになるわ」

それじゃあ嫌?と、意地悪な質問をして微笑んでみせると、セドリックは一瞬、きょとんとした表情をした。けれど、俯いて肩を震わせていたかと思うと、くすくすと笑ってみせた。ぎゅうときつく抱きしめられて、肩口をセドリックの髪がくすぐった。

「いいね、それ。とても素敵だ」

半分は冗談だ。けれど実際、セドリックが大失敗したところで、私がセドリックを嫌いになることはないと言う確信が合った。それに、本当に、セドリックが私一人だけのものになってしまえばいいのになと少し思う。なんてわがまま。恥ずかしいから、絶対口には出せないけれど。

「好きよ」

──────好きよ、セドリック。
たとえ貴方が、ホグワーツが優勝できなくたって、かっこ悪くたって、そんなことは私にとってはどうでもいいの。
誰にも言わなかった私の強がりに、気づいてくれたところが好き。いつだって私の気持ちを考えてくれるところが好き。誰にでも優しいところが好き。人を安心させる笑顔が好き。勉強やクィディッチに集中してるときの、真剣な顔も好き。キスなんてもう何十回もしてるのに、未だに緊張してくれるところが好き。キスしていい?って聞く時、緊張のせいでちょっと表情が硬くなるところも好き。私を抱きしめるときに、手のやり場に困って頭を撫でてくれるのが好き。好きって言うと、はにかんだように笑っうところが好き。
好きになりすぎて、不安なくらい、好き。

「……本当に、もっと甘えていいの?」
「いいよ」

もしも貴方が居なくなったら、私はどうなるのだろう。
もしも貴方が、他の女の子を好きになってしまったら。そうでなくても、私のことなんて好きじゃなくなってしまったら。もしもこの手を離されたら、私は一体どうなるのだろう?
貴方が居なければ生きていけないなんて、そんな馬鹿げたことは思わない。
貴方が居なくても、私は生きていけると思う。これまでもずっと、そうだったから。けれど、できるならこれからも貴方の隣で生きていきたい。もう、あんな風に虚勢を張って生きて行くのには、きっと耐えられない。誰かに頼ることの息のしやすさを知ってしまったから。
貴方を好きになって、私は弱くなった。貴方は私に重いものを持たせようとはしないから。貴方は私の抱えていたものを取り除いてしまうから。貴方は私の強がりを溶かしてしまうから。貴方は私に優しい言葉だけをくれるから。甘やかされて、甘えてしまう。前ならば平気だったはずのことが、できなくなっていく。貴方のせいで、私は前よりずっと泣き虫になった。貴方のせいで、一人が寂しいと感じるようになった。貴方と居ると、私はどんどん弱い女の子になっていく。
自分でも驚くほど、依存している。ううん、きっと、自分で思うよりも、ずっと。いつか貴方がその重みを支えきれなくなってしまうんじゃないかと。責任感の強い貴方がそれに耐えようと壊れてしまうんじゃないかと、それが怖い。
でもね、前みたいに強くなりたいとは思えないの。もう強がるのは嫌。
もう、一人ぼっちは、嫌。

「ねえ、セドリック。キスしてもいい?」

首に腕を絡めて、鼻先の触れそうな距離。小さく首を傾げてみせると、セドリックは虚をつかれたような顔をした。そうして首筋から一気に赤くなって、視線が泳ぐ。自分がいつもこうやって聞くくせに。けれど、こう言う反応をすることは想像の範囲内でもあった。

「……確かに、恥ずかしいね。この質問」

────そうやって、照れると真っ赤になるところが、どうしようもなく、好き。
たぶんセドリックが想っている以上に、私はセドリックのことが好きで。
でも、それは当然のことだと思う。だって、貴方は私の世界を変えてくれた。世界はこんなにも美しいのだと教えてくれた。前しか見て来なかった私は、貴方が居なければ、空の星も、地に咲く花にも気づけなかった。
セドリックが大丈夫だと笑うから、いつか妹やママとも仲良くなれると、そんな風に思えるようになった。
永遠なんて、信じていない。そんなのは物語の中だけど。わかっている。けれど、今は。

「いいよ」

今は、貴方の居ない世界なんて、想像すらしたくない。


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