【下書き交換企画】紺が書いた下書き

 

◆テーマ:チェンジリング/お相手:ドラコ

 

「妖精はね、ブロンドの髪が好きなんですって」

きらきら光ってとても素敵な髪ね。白い手のひらが、慈しむように髪に触れる。夢見るように囁いて、目の前の少女が眩しそうに目を細めた。

「シシーおばさまは、妖精の女王さまみたいに綺麗でしょう。ドラコも妖精の王子様みたいに可愛いから、妖精達が見たらきっと仲間だと思われてしまうわ」

視線を巡らすと、見渡す限り花に埋め尽くされている。けれど、甘い花の香りも、土の匂いもしない。少女が編んでいる花冠も、磨りガラスを隔てているかのようにぼやけてよく見えない。足元の花に触れようとしても、指先がその感触を捉えることはなかった。なぜなら、これは夢だからだ。ドラコは、この少女とこんな場所に来たことはない。

「だから、1人でどこかに居なくなったりしちゃダメよ。妖精に攫われてしまうから」

ドラコの頭に花冠を載せて、少女が笑う。行きましょうとドラコの手を引く少女が背にした空の鮮やかさが目を焼いた。果てなく広がる青の中に、少女の輪郭が溶けていく。

随分とまあ、感傷的な夢を見たものだ。

夢とは言っても、想像や願望、あるいは潜在意識が視覚化されたものではない。花畑は幻だが、あれは確かにドラコの過去に実際に起こった出来事だし、夢に出てきた少女は実在する。そして、なぜ唐突に彼女が夢に出てきたのか、その理由もはっきりしていた。
昨夜催されたドラコの入学祝いのパーティーで、彼女の話題が出たせいだろう。尤も、出席していたのは彼女の父だけで、当の本人は姿を見せなかったが。そう聞かされても、ドラコは特にそれを残念だとも思わなかった。どうせ新学期になれば、必然的に顔を合わせることになるのだ。

レイチェル・マッキンリーと言う少女との関係性について、ぴったりとあてはまる言葉をドラコは知らない。

初めて出会ったのは確かドラコが4歳の頃で、レイチェルは7歳だった。ルシウスの友人の娘であるレイチェルは、父親に連れられてマルフォイ邸へとやって来た。
一緒に遊びなさいと大人達に促されて、彼女がぎこちなくドラコに手を差し伸べてみせたのを薄っすらと覚えている。子供は子供同士────大人達にとってはシンプルな論理でも、当人達にとってはそうではなかった。
彼らから見れば取るに足りない3年と言う歳月は、幼少期の2人の間を大きく隔てた。そのせいか、ドラコはレイチェルのことを友人だと感じたことは一度もなかった。
かと言って、姉のようかと言えばそれもない。まるで姉弟のようと大人達は微笑ましそうに2人を見ていたし、レイチェルが年上の使命感を持ってドラコに接していたのも確かだったが、即席の姉を無邪気に慕えるほどドラコは人懐こい性質ではなかった。そもそも、レイチェルの容姿はドラコとは似ても似つかない。それなりに美しい少女だったが、その身に宿す色彩にしろ顔立ちにしろ、ドラコと共通するところは何一つないのだ。血縁と錯覚するのは無理がある。幼馴染のようなものだが、その呼称があてはまる人間は何もレイチェル1人ではない。
父親同士が友人。関係性で言えば、それ以上でもそれ以下でもないのだろう。最後に彼女がこの屋敷に来たのだって、もう随分と前のことだ。

 

【最後に遊んだときのエピソード。何か大人も巻き込むような事件が起こった。ドラコが危険なことをしたので止めきれなかった夢主が責められた?】

 

「ちょっと年上だからって、僕に指図するな。父上の言いつけだから、お前なんかと仲良くしてやってるんだ」

大人達に叱られても、レイチェルは言い訳もせず、ただ瞳を潤ませて唇を噛み締めていた。

 

【そのエピソードの後のドラコと夢主のやりとりを挟んでもよいかも。たぶんドラコはまたいらんことを言って夢主を幻滅させた。なくてもいいと思う】

 

 

【場面転換。入学してしばらく経ったくらいで再会】

 

「……レイチェル?」

 

【14歳で大人びた夢主を見てドラコは驚く】

 

「……ああ。久しぶり、ドラコ。大きくなったのね」

 

【主人公の反応が淡白でむっとしてしまうドラコ。(自覚あり)照れ隠しもあっていつもより多めにツンツンしてしまう(自覚なし。なんか見つめられるとイライラするな〜くらい?)】

 

「久しぶりの再会なんだぞ。もう少し気の利いたことは言えないのか」
「……ごめんなさい。そうだわ、遅くなってしまったけれど、入学おめでとう」

 

【入学と言えば】

 

「どうして入学祝いのパーティーに来なかったんだ?」

 

【ドラコの心境:疎遠だったとは言え、入学って一大イベントなんだから手紙のひとつでも寄越すべきでは?(過去の出来事は棚上げの超自分本位論理)】

 

「変わらないのね」

 

【夢主はそれを聞いてうわってなっている。と言うか軽蔑?】

 

「3年ぶりに会っても、貴方は相変わらず、私が貴方の機嫌をとるのが当然だって思ってる」

 

「どうしてパーティーに行かなかったか?貴方にも、貴方のお父様にも会いたくなかったからよ。他にどんな理由があるの?」

 

「私に構わなくたって、ここには進んであなたの世話を焼きたい人はいくらでも居るでしょう。残念だけど私と貴方は寮も違うし、もう私に関わらないで」

知らない少女だった。
彼女の方こそ、妖精が攫って、別の誰かに取り変えてしまったかのようだ。

『母上。レイチェルは次はいつ来る?』
『学校に行ってしまったから、しばらくは来れないでしょうね。寂しい?」
『……別に!レイチェルなんか居なくたって、全然寂しくなんかない』

友人だと思ったことはなかった。彼女が関わると、いつだって素直になれず虚勢を張ってしまった。彼女の前では、弱気なところを見せたくなかった。弟のように、守るべき存在として扱われるのは嫌だった。

『ドラコ』

困ったように寄せられた眉。そっと髪を撫でる温かなてのひら。夢見がちなお伽話を口遊む、柔らかな響き。キャンディのように甘く溶ける瞳。桃色の唇が描く、柔らかな笑み。

『ドラコ。今日は何をして遊びましょうか?』

ドラコの知る「レイチェル」を構成する全ては、彼女が破りつつある少女としての殻と共に、彼女から剥がれ落ちてしまったかのようだった。当然だ。最後に会ってから、3年も経った。全てがあの頃と同じであるはずがない。

それなのにどうしてか、彼女は変わらずに自分に笑いかけるのだと、信じて疑わなかった。

ドラコに変わったところがあるように、レイチェルだって変わる。ドラコがもう手を引かれるばかりの小さな子供ではないように、レイチェルだっていつまでも妖精や花飾りに夢中の女の子であるはずがない。当たり前のことなのに。
自分を見る瞳に、名前を紡ぐ声に。かつての親愛が失われていることに、傷ついている自分に。刺すような胸の痛みに。

自分にとって、彼女は初恋だったのだと気がついた。

 

【自分は、自分で思っていたよりもずっと、この少女のことが好きだったのだと気がついた。 と迷ったのでどっちでも。もしくはまるっと変えてしまっても。その後仲直り?できるかここで切るかは任せます】

 

以下補足

<できごと>
学生時代の友人同士であり価値観の似ているルシウスと夢主の父はお互いの子供を結婚相手にどうかと考えた。とは言え夢主の方が3つも年上と言うこともあり、いきなり婚約と言う形ではなく引き合わせて相性を見てみることに。ドラコが夢主を気に入るか、夢主がドラコをうまくリードするようなら結婚もあり?みたいな打算もあってちょくちょく家に連れてきていた。あと単純に子供同士で遊ばせとけば大人の話がしやすいし。しかし様子見期間に事件が起き、こりゃダメだ(ドラコが夢主を気に入ってたとしてもそれが悪い方にしか働いてないし、夢主にドラコを制御する力もなさそうだし)と判断。以降大人主導で会わせる理由はなくなり、子供達も会いたいと言い出さなかったので特に仲直りの機会を設けることもなかった。
そんな2人がドラコのホグワーツ入学を機に再会する。

 

<ドラコ>
幼少期に夢主に一目惚れ?(無自覚)→ちやほやされ、周りが自分に気に入られようとするのが当たり前だったので夢主に対しても「仲良くしてやってる」感。あと上でも書いたけど舐められたくなかった=好きな子と対等でいたかった。
ルシウスやナルシッサにはあまり甘えられない&甘え方がわからないので夢主への甘えがわがままと言う形で爆発していた。入れられなかったけどわざと困らせることばかりしていたかも
→事件のあと夢主への罪悪感はあったが謝り方を知らなかったし意地っ張りで「会いたい」と素直に言い出せなかったためそのまま疎遠に。謝ってないけど夢主はいつも笑って許してくれたので別に怒ってないだろうと信じ込んでいた。夢主からアクションがないのに自分だけ「会いたい」「寂しい」アクションを起こすのが悔しいので無意識に夢主のことを考えないようにしていた
→無自覚のまま初恋を拗らせた

 

<夢主>
幼少期、わがままで尊大なドラコのことは苦手だったが親の手前仲良くなろうと努力していた。その甲斐あってまあまあ懐かれたが、生来の穏やかな気性からドラコの手綱を握るのはうまくいかなかった。ドラコより年上とは言え夢主も子供だったのでドラコのわがままが甘えだとは気づけず、家格的にドラコには逆らえない&わがままも聞かざるをえないので、まるでお目付役か召使いのようだと感じていた。
何度も会ううちドラコの態度にも慣れ、弟みたいでかわいいかも、と思えるようになってきていたが、事件のせいで大嫌いになった。たった一言すらも謝らなかったドラコはやはり自分を召使い程度にしか思っていない=下だと思っているのだと考えており、関わり合いになりたくないと思っている。ドラコがスリザリンに行くだろうとわかっていたのであえてハッフルパフ(母親の出身寮)を選んだ。基本的には温厚で人当たりのいい美少女。

 

<テーマ「チェンジリング」の解釈>
取り替え子/嬰児交換の意味から「純血名家の子供だけど実はマグルとの浮気でできた子供」みたいな話を一瞬考えたものの、暗い上にうまく膨らませられなかったのでその線は諦めて関連して出てきた「妻が取り替えられたと主張し妻を殺した夫」の話の方を採用しました。「見た目は変わらないけど中身が別人だ!妖精が取り替えた!」ってエピソードから、しばらく会わないうちにすっかり別人になってしまったドラコの幼馴染(と呼ぶほど親しくないけど)→変わってしまった相手を目の当たりにしたことによって自分が彼女を好きだったことに気づくドラコ、と言うシュチュエーションに。妖精が取り替えた、と言う表現が不自然かつ唐突にならないよう本来の取り替え子の意味を幼少期の回想の中の会話として伏線ぽく入れてみました。
幼少期の回想(チェンジリング について)→再会したら別人ってとこしか重要でないのでドラコを嫌ってた子がベタベタしてくるーとかでもよい気がします 「ドラコから見た」幼少期と現在の印象にギャップがあれば成立すると思うので性格などは変えちゃってください


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