<第6回>食事

「はじめまして、の方もお久しぶり、の方もこんばんは。今週もこの時間がやってきました。金曜の夜はマグルのあなたを魔法界へご招待! マグルのご家族にとっては未知の存在であるホグワーツ。そんなホグワーツのあれこれを現役ホグワーツ生の視点から紹介していくこの番組も、残すところあと5回です。メイン・パーソナリティーは、ホグワーツ魔法魔術学校4年、レイブンクロー寮所属のレイチェルグラントでお届けします。第6回の今夜のテーマは、ホグワーツの食事についてです。成長期のお子さんを持つリスナーの方には、もしかしたら今まで一番気になるところでしょうか? 定番の蛙チョコや百味ビーンズ、ハニーデュークスのお菓子など、魔法界独特の食べ物にビックリ、なんて話も時々聞きますね。ホグワーツでの食事もあんな風におかしなものばかりなのか?なんて心配しているリスナーの方も居るのでしょうか? 果たして私達ホグワーツ生は普段どんな食事を食べているのか?そんな疑問にお答えしていきたいと思います。では皆さん、今夜もタイトルコールをご一緒にどうぞ。……『ホグワーツ生の、ここだけの話』!」

<CM>

「……えっと、CMも終わったところで発表があります。ここまででお気づきになった方もいらっしゃるかなと思いますが……リスナーの皆さんには残念なお知らせです。セド……当番組のもう一人のメインパーソナリティーであるセドリック・ディゴリーは今週風邪を引いてお休みです。昨日ハッフルパフは雨の中クィディッチの練習を行ったらしく、セドは熱を出して寮で寝ています。そこまでひどい風邪と言う訳じゃないので心配はないそうです。本人は責任を感じて来たがってたんですけど、声がガラガラなので来ても喋れないだろうと言うことで今週のラジオは欠席することになりました。来週からはまた元気に番組に参加してくれると思います。……そんなわけで!代わりと言っては何ですが、この番組に初ゲストをお迎えすることになりました!では、本人から紹介をどうぞ」
「初めまして。ホグワーツ魔法魔術学校2学年、グリフィンドール寮所属のハーマイオニー・グレンジャーです。レイチェルとは学年は違うけれど友人です。よろしくお願いします」
「ハーマイオニーは学年トップの才女なんですよ。と言うわけで、今日は私とハーマイオニーの2人で進行していきたいと思います!」
「ゲストだなんて、大げさじゃないかしら?単にいつも通りブースの向こうに居たってだけなんだけど……」
「だってオープニングを喋ってやっぱり私1人じゃ無理だってわかったんだもの。いくらなんだって、荷が重すぎるわ。いくら何度かやってきたからって言っても、私はやっぱり素人なんだから……マクゴナガル教授もいいって言ってくださったし」
「まさか許可が出るとは思わなかったわ……」
「それにね、この間からセドと言ってたの。私とセドじゃ、『マグルの学校との違い』はわからないから、マグルの学校がどんな風かを知っている人が司会に加わってくれたほうがいいんじゃないかって。ハーマイオニーなら、バッチリ。でしょ?」
「まあ、そうかもしれないけど……私、こう言うの苦手なのよ……」
「私もセドもそうよ。でも、まあ今のところ何とかなってるから大丈夫よ。それに、これでラジオネーム腐ったプリンさんからの『やって欲しいコーナーなんですが、ゲストを呼んでその人にとってのホグワーツの食事のおいしいものとまずいものを発表して、討論してほしい』ってリクエストにも答えられそうだし。だから、ね?今日だけお願い、ハーマイオニー」
「……わかったわ。一度引き受けたんだもの、責任を持ってやるわ」
「ありがとう。じゃあ、そろそろ今日のテーマに入りましょう。ホグワーツの食事については、リスナーの皆さんからいくつかお便りを頂いてます。ハーマイオニー、読んでくれる?」
「えっと、まずはラジオネーム、迷える父さんから『ホグワーツの食事はどんなのですか?』 次に、水中人Aさんから。『ホグワーツでは、毎食様々な料理が提供されていると聞き及んでいます。その中で、メインパーソナリティのお二方の、それぞれ好きなメニューは何ですか?』こっちはラジオネーム、悠さんから。『食事はいつも豪華に見えて美味しそうで、イルミネーションもきれいなのですが、ホグワーツで過ごしてきた中で一番美味しかったものは何ですか?また、ちょっと苦い思い出とかありますか?』」
「ありがとう、ハーマイオニー。じゃあえっと、質問に答えていきましょう。後で時間が足りなくなったら嫌だもの……えっと、まずはホグワーツの食事はどんなのか?だっけ。ハーマイオニー、どう思う?」
「うーん……何て言うか、普通だと思うわ。あ、おいしくないって意味の普通じゃなくて……とってもおいしいわ。でも、マグル生まれの私の目から見ても、おかしなものは特に出て来てないわ。お菓子は不思議なものも多いけど。舌が溶けちゃう飴なんて、危険じゃないのかってびっくりしたもの」
「ああ、あれはジョークグッズみたいなところもあるから……マグルのお菓子にはないの?ああ言うびっくりするようなお菓子って」
「あるにはあるけど……食べるとパチパチ弾けるキャンディーとか、笛みたいに音が出るラムネとか、そう言うのよ。いくら何だって食べると耳から煙が出たり、声がライオンそっくりになったりするほど、奇妙なものはないもの」
「ラムネが笛なの? それって、大きすぎて食べづらくない?」
「違うわ。笛の形をしてるわけじゃないのよ。普通のラムネなんだけど、真ん中に穴が空いてるから……って、ダメよレイチェル!今回のテーマはマグルのお菓子じゃなくて、ホグワーツの食事でしょ!」
「あ……そうだった……ごめんなさい……つい……」
「ホグワーツの食事は、イギリスでごくごく一般的なものだと思うわ。朝食は、いわゆるイングリッシュ・ブレックファストね。毎日用意されてるのが、ポリッジやシリアル、それにフルーツ。それに日によって違うけど、ベーコンエッグやポーチドエッグ、スクランブルエッグなんかの卵料理。私はあんまり好きじゃないから食べないけど、キッパーも用意してあるわね。あとはゆでた豆にソーセージ。トーストのジャムは苺にラズベリー、ブルーベリー、あとは定番のマーマレードにはちみつなんかが10種類くらい。スコーンとオーツケーキもあるし、紅茶とコーヒーは好きな方が選べます。毎日が一流ホテルの朝食って感じかしら。私、正直学校でこんなに豪華な朝食が出てくるなんて最初びっくりしちゃったの。入学する前はシリアルとトースト、あとは時々ベーコンエッグやフルーツが出てくればいいな、くらいに思ってたもの。でもよく考えたら、ホグワーツもパブリック・スクールだって考えれば、これが当たり前なのかしら?」
「うーん、よくわかんないけど……やっぱり食べざかりの子供が多いからってこと?」
「え……ええ。えっと、そうね、そんな感じよ」
「昼食は、肉料理と付け合わせが多いわよね。ラムチョップとかポークチョップとか。時々、 サンドイッチやシェパードパイなんかも出るけど。基本は寮のテーブルで食べることになってるけど、私、そのときは外でランチにしちゃうときもあるわ。晴れてると、すっごく気持ちがいいんだもの」
「夕食はプディング料理とかパイが多いわよね。あと子羊や牛なんかの煮込み料理。それに、デザートがすっごく豊富だと思うわ。どれだけ時間が経っても冷めないところなんかはやっぱり魔法だなって思うけれど……」
「保温魔法を使ってるらしいわ」
「そうみたいね。それ以外は、マグルも慣れし親しんでるごくごく普通の家庭料理ばかりだし、魔法界の変わった植物が食卓に出てくるってことはまずないわね。私、それを一番心配してたんだけど……マグル生まれがホグワーツに行っても、食事で困ることはないと思うわ。お菓子はともかくとして」
「……ねえ、待って、ハーマイオニー。ってことは……マグルの人達も、魔法使いと食べてるものは同じってこと?」
「え? ええ、そうよ。それがどうか……」
「…………」
「…………」
「…………」
「あ、でも、ほら、マクドナルドとかは魔法界にはないし、レイチェルにとっては珍しいものもたくさんあると思うわ!」
「……マクドナルドって誰?」
「そう言う名前の、マグルの間では有名な……有名な……レストランがあるの!レイチェルはきっとあの雰囲気は好きだと思うわ!」
「……本当?」
「ええ、もちろん!レイチェル、そろそろ次の質問にいきましょ!好きなものと苦手なもの、それに一番
美味しかったものと苦い思い出、だったわよね!レイチェルは何が好き?」
「私……私は、やっぱりデザートかしら。カスタードタルトとか、チョコレートケーキとか」
「わかるわ。あと、ハロウィンに出てくるパンプキンプディングも美味しいわ!」
「私もあれ、大好き!普段も出してくれればいいのにって思うもの」
「私もよ。ああ、でも、普段からあれが出たら、大変なことになるかもしれないわ。今でも、つい、デザートを食べ過ぎちゃいそうになるもの。ハリーやロンは男の子だからいいけど、あんまり食べすぎたら太っちゃうんじゃないかって心配。普段ほとんど運動しないし……」
「食べ放題って罪よね。好きなだけ食べれるのはいいけど、一人分が決まってればいいのに」
「ロ……男の子なんかは、好きなものばっかり食べてたりするわよね。栄養なんか全然考えてないんだから」
「まあ、嫌いなものはできれば食べたくないわよね。レイブンクローでは一応上級生が下級生の食事に気を配ることになってるんだけど……グリフィンドールはそう言うのないの?」
「うーん……言われたことないわ……まあ、私は栄養を考えて食べるようにしてるんだけど……私以外も特に言われてないと思うし……」
「ハーマイオニーが言ってくれるから大丈夫って思われてるのかもしれないわ」
「そうなのかしら? えっと……苦手なものよね。さっきも言ったけど、私、キッパーがあんまり好きじゃないわ。食べられないってほどじゃないけど……他には特にないんだけど。レイチェルは?」
「私、ゆでた豆がダメ。あの原型がなくなるくらいゆですぎてグチャグチャになった食感がどうしてもダメ。あとグリンピースもそんなに好きじゃない」
「ああ……なんとなくわかるわ」
「好きなものと苦手なものはこんなものかしら……うーん……今までで一番美味しかったもの……」
「私は、クリスマスの食事かしら。今年は学校に残ったんだけど……すごく立派な七面鳥で、とってもおいしかったわ。あと、トライフルなんかも」
「そうなの? ちょっと羨ましい。私、クリスマスに学校に残ったことってないの」
「今まで見たことないくらいのご馳走だったわ。でも、皆帰宅してしまうから人数が少ないでしょう?食べても食べても減らなくて……嬉しいけど悲鳴を上げそうだったもの。レイチェルは、どう?」
「んー……いつだったか忘れたんだけど、吹雪の日に薬草学の授業があったの。温室って校庭の隅っこにあるでしょ? 体の芯まで冷え切って城まで帰ってきたとき食べたビーフシチューは、世界で一番美味しいって思ったわ。普段だっておいしいんだけどね」
「砂漠で飲む水が何よりもおいしいって言うあれね。あとは……『苦い思い出』?」
「苦い思い出……うーん……ちょっと思い浮かばないかも……ハーマイオニーは?何かある?」
「あー……ん……その……あるわ……」
「本当? じゃあ、先にどうぞ」
「あのね……1年生のとき、友達と喧嘩してハロウィンのご馳走を食べそこなったの。それが、苦い思い出」
「あー……確かに……それはすごく残念ね」
レイチェルは?」
「私? 私は……んー……あるにはあるんだけど……ちょっと恥ずかしい」
「私もよ。苦い思い出なんだから、皆そんなものじゃないかしら?」
「そうよね…………1年生の冬くらいだったと思うんだけど、私、風邪を引いて医務室で1晩過ごすことになったの。風邪だからってことで、マダム・ポンフリーがチキン・ブロスを持ってきてくれたの。でも、その味付けがいつも家でママが作ってくれたのと違って……当たり前なんだけど。ああ、もうここはお家じゃないんだって思ったら急にホームシックになって、泣きながら食べたわ。1ヶ月後には、クリスマス休暇で家に帰れるってわかってたのに」
「わかる気がするわ。ホグワーツの食事はおいしいけど、やっぱり家の味付けってほっとするもの」
「ええと、これで質問には全部答えられたかしら?」
「ええ、たぶん。もう時間ね。ブースに居ると結構長く感じるんだけど、実際に喋ってみるとあっと言う間だわ」
「でしょ? だからいつも最後は急ぎ足になっちゃう。じゃあ、そろそろまとめに入りましょうか。今回のテーマは食事と言うことで、ホグワーツの食事の内容や思い出を語らせていただきました。お楽しみいただけたでしたでしょうか?ラジオネーム腐ったプリンさん、迷える父さん、水中人Aさん、悠さん、ありがとうございました! はい、ハーマイオニー、これ」
「えっ……次回のテーマはホグワーツの課外活動についてです。当番組では、引き続きご意見、ご質問を募集中です。何か気になることがあれば、お気軽にどうぞ」
「今回は特別に、ハーマイオニー・グレンジャーをゲストにお迎えしてお届けしました。ハーマイオニー、感想はある?」
「ちょっと緊張したけど、楽しかったわ。これが放送されてるって実感はあんまり湧かないけど」
「私としてはハーマイオニーがしっかり進行してくれたからすごく楽でした。どうもありがとう」
「あれでよかったのかわからないけど……私こそ、ありがとう」
「来週はまた、セドリックも一緒にお届けできると思います。セド、早く元気になってね。私としてはハーマイオニーと3人でもいいんだけど……」
「遠慮しておくわ。私は今回きりで大丈夫よ」
「残念……。じゃあ、また来週からはブースの向こうから見守っててね」
「ねえ、そう言えば、セドリックの好き嫌いって何なの?」
「ああ……セド、好き嫌いないの。小さい頃はそれなりにあったんだけど、好き嫌いしてたら大きくなれないって全部克服したみたい。見習いなさいってよく言われるわ。それでは、皆さん来週もまたお会いしましょう!」

<エンディングテーマ:妖女シスターズ『バンシーに恋して』>

「この番組は、BBC、日刊預言者新聞、週間魔女の提供でお送りしました」

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