<第10回>私達にとってホグワーツとは

「リスナーの皆さん、こんばんは。金曜日の夜は魔法界への扉を開けましょう!パーソナリティーは私、ホグワーツ魔法魔術学校4年、レイブンクロー所属のレイチェルグラントと」
「同じくハッフルパフ寮所属のセドリック・ディゴリーです」
「『ホグワーツや魔法界についてもっと知りたい!うちの子の成績や進路はどうなってるの?どんな学校生活を送っているの? マグルのご両親にとってはとっても気になる、でも自分の子供に根掘り葉堀り聞くと嫌がられる……』 そんな不安や疑問に現役ホグワーツ生が答えます! 当番組は、魔法界初の試みです」
「全10回の放送も今夜が最後。皆さん、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです」
「それではリスナーの皆さんもご一緒に、タイトルコールをどうぞ」
「「ホグワーツ生のここだけの話!」」

<CM>

「今日でとうとう最終回だね」
「そうね。なんだかすごく寂しい。……でも、ちょっとほっとしてるのも確かなの。こうやってラジオを自分達でやってみて、初めてどんなに難しいかわかったもの」
「確かに……プロはすごいよね。この番組が始まってから、前よりラジオを聞くようになったけど……会話の流れがすごくスムーズだし……僕達だと毎回時間がギリギリになって慌てちゃうよね」
「ね。今日こそはそうならないようにしたいけど……でも、たぶんまたそうなっちゃう気がする」
「頑張ろう、レイチェル。えっと……それで、今日のテーマは」
「『私達にとってホグワーツとは』」
「すごく最終回らしいテーマだよね」
「そうね。こんな機会でもないと、改めて考えることってないから、何だか新鮮な感じ。ちょっと恥ずかしいけど、でも、最後だし真剣に考えてみたいわ」
「僕達にとってのホグワーツか……何だろう、入学前と今では結構違う……かな? 勿論、想像通りだったところもたくさんあるけどね」
「あー……それはあるかも。セドは、入学前はホグワーツはどんなところだって思ってたの?」
「うーん……父さんから色々と学生時代のことを聞かされてたし、やっぱりすごく楽しみだったよ。でも、不安もあった。落ちこぼれたらどうしようとか……友達ができなかったらどうしよう、とか。そもそも入学許可証が届かなかったらどうしよう?とかね」
「確かに。誰でも一度は考えるわよね」
「でも実際、わからないことがあっても先生達は見捨てたりなんてしないし、ルームメイトも皆気の良い奴ばかりだった。レイチェルは?」
「んー……私は、たぶんレイブンクローかハッフルパフだろうとは思ってたんだけど……もしそれ以外のところに組み分けられたら、上手くやっていけるかしら?とか、レポートが終わらなかったらどうしよう、とか……でも組分け帽子はレイブンクローに入れてくれたし、レポートも……まあ、今のところ何とかなってるわ。……って、これ、ホグワーツのイメージからはちょっとずれてるかも」
「でも、やっぱりマグルの子達もきっと考えることだよね。もしこれからホグワーツに入学する子が居たら、不安なのは皆同じだって考えてもらえるといいな」
「それに、もしかしたら、マグル生まれの子よりも魔法族の方が不安なこともあるかもしれないわ。学校に通うのって、初めてだもの。それに、寮生活も。マグルの子供は、11才になる前から学校に通うんでしょ?」
「そうらしいね。僕達魔法族にとってはクラスも授業も初めてだけど、マグルの子達にとってはそれまでも当たり前だったことなんだよね。勿論、授業の内容なんかは全然違うんだろうけど」
「そうなのよね。何もかも初めてだから、学校がどう言うところなのかって正直よくわかってなかったわ。大人から聞かされた話や写真なんかから想像はしてみたけど、それが実際正しいのかどうかなんて確かめられなかったし……確かに、不安も少しはあったけど、皆口を揃えて素晴らしいところだって言うから、きっとそうなんだろうなって思ってたわ。だから、楽しみの方が大きかった」
「僕もそうだよ。ホグワーツの卒業生で、ホグワーツを悪く人には会ったことがないしね」
「ね。実際入学してみて、覚悟してた以上にレポートが大変だったり、レイブンクローの階段は思ったよりきつかったりとか……想像と違うことも、確かにあったわ。でも、それでもやっぱり、ホグワーツは素晴らしいところだなって思うもの。ホグワーツ以外の学校なんて、考えられない」
「そうだね。魔法学校はホグワーツ以外にもたくさんあるし、きっと僕達が知らないだけでどれもそれぞれに素晴らしいところなんだろうけど……それでも、ホグワーツに入学できてよかったと思うよ。何て言うか……ホグワーツはもう僕の人生の一部で……もしもホグワーツに通ってなかったらって言うのは、想像がつかないんだ」
「わかるわ。ただの『学校』って言葉で片付けるには、ホグワーツの存在が大きすぎて……」
「魔法使いや魔女の多くは、ホグワーツが初めての学校で……そして、最後の学校だからね。ホグワーツを卒業してしまったら、もう皆、それぞれ社会に出て行って……」
「ね、セド。入学する前、『学校に行ったら、立派な魔法使いになるためにたくさん勉強するのよ』って、よくおばさんが言ってたじゃない? でも、何て言うか……ホグワーツは、勉強だけを教えてくれるわけじゃないって気がするわ」
「うん。それは僕も思う。勿論ホグワーツの教授達は、僕達生徒にたくさんの知識を分け与えてくれるんだけど、それだけじゃなくて……大人の魔法使いとしての振る舞い方と言うか……何だろう、『僕達を一人前の魔法使いにしてくれる場所』だよね。僕達がホグワーツに居るうちは先生達が守ってくれるんだけど……ホグワーツを出ても、僕達がちゃんとやっていけるように」
「そう、それ! でも、何もかもああしなさいこうしなさいって言われるわけじゃなくて……迷ったり悩んだりしているときはヒントをくれて……本当にどうしようもなくなったら手を差し伸べてくれて、私達を見守ってくれてる」
「教授達だけじゃなく、上級生もだよね。相談に乗ってくれるし、どうすればいいかってお手本を見せてくれる。ホグワーツには、こうなりたいって思えるような先輩がたくさん居る。これって、すごく素敵なことだと思うな」
「そうね。具体的に憧れの人とか目標の人が居ると、頑張ろうって思えるもの。皆が頑張ってると、自分も頑張らなきゃって思うし」
「一緒に頑張ってくれる仲間が居るのは、すごく頼もしいよね」
「これを聞いているマグルのご両親に言ってあげたいわ。『ホグワーツに通っているのなら、卒業する時には貴方の子供は立派な魔法使いや魔女になっているはずです』って。……って言っても、私自身がまだ半人前だから、説得力なんてないだろうけど……」
「そんなことないよ。きっと伝わる」
「だと嬉しいわ……」
「僕達にとってのホグワーツはただの学校だけじゃなくて『一人前の魔法使いや魔女になるための場所』……だよね。違う?」
「ううん、違わない。それ以上にしっくりくる表現ってきっとないと思うわ」
「卒業した後も、胸を張って同じことを言えるように、頑張りたいな」
「そうね。さっきセドが、入学前と今では違うって言ってたけど……卒業してみたら、きっとまた感じることって違ってくるのかしら?」
「そうかもしれないね。でもきっと、ホグワーツが好きだってことは、変わらないと思う」
「それは勿論。今こうやって、ホグズミードに行ったり、友達と馬鹿騒ぎしたり……今当たり前みたいにやってることもきっと、大人になって振り返ったらすごく大切な思い出になるのよね。きっと、何十年経っても忘れないと思うわ」
「そうだね。きっと、将来自分の子供ができて……その子がホグワーツに入学することになったら、やっぱりきっと、僕も父さんが僕にそうしたみたいに、学生時代の話をするんだろうな」
「『父さんは学生時代にクィディッチのシーカーをやってたんだ!』って?」
「きっと言っちゃうな。何度も何度も……それで『もう聞き飽きたよ』なんて言われて居落ち込むかもしれない」
「なんか想像がつくわ。……卒業なんて、まだまだずっと先だって思ってたけど私達のホグワーツ生活も、あと半分しかないのよね。卒業するまで、悔いのないようホグワーツ生活を満喫しなくっちゃ」
「僕も、自分の息子に自慢ができるようにクィディッチを頑張るよ」
「さて、じゃあ結論も出たし、今日のテーマに関してはこのあたりで終わりにしましょうか。今日だけは最後バタバタして終わるのは嫌だもの」
「そうだね、それがいいかもしれない」
「ああ……もう、あとたった5分で終わりなのね。なんだか全然実感が湧かないわ。先週も言った気がするけど」
「僕もだよ。10回もあるって聞いたときは、どうなることかと思ったけど……無事に今日を迎えられてほっとしてる」
「結構たくさんのことを話したわよね。どんなテーマがあったんだっけ?」
「第1回が『ホグワーツ入門』、それから『学内施設』、『寮の役割』、『授業』、『年間行事』、『食事』、『課外活動』に『進路』……それに、前回はフリートークだった。僕達だけじゃ何をしゃべったらいいかわからなかったし、リスナーの皆さんの質問に随分助けられたよね」
「そうね。私もセドも魔法界で育ったから、マグルから見てどう言うことが気になるのかってわからないもの。質問がなかったら、すごくへんてこなことばかり喋っちゃってたかも」
「お手紙をくださったリスナーの皆さん、それから最後までお付き合いくださった皆さん。本当にありがとうございました。パーソナリティーとしては未熟でしたが、僕達のラジオで少しでも魔法界に対する疑問や不安が解消できていたら、嬉しいです」
「もっとこう言うが、機会がたくさんあればいいのにね。マグルと魔法使いの交流の場って言うか……魔法省主催とかで……今回は魔法界のことを伝えるだけだったけど、マグルのことを知りたいと思ってる魔法使いだっていっぱい居るのに」
「これから増えるかもしれないよ。……それでは、そろそろお別れのお時間です」
「「「リスナーの皆さん、本当にありがとうございました」」
「ラジオはこれで終わりだけど……これが最後ってわけじゃないのよね。私達はまだホグワーツに居るんだから。もしかしたら、キングズクロスで会ったりするかもしれないし」
「そうだね。それってすごく素敵だ。……『ホグワーツ生のここだけの話』。パーソナリティは、セドリック・ディゴリーと」
レイチェルグラントでした!」

<エンディングテーマ:妖女シスターズ『バンシーに恋して』>

「この番組は、BBC、日刊預言者新聞、週間魔女の提供でお送りしました」

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