「何か、いかにもマグルっぽいものがいいわ」

バレンタインについてレイチェルを騙したお詫びの品について何がいいかと問われてそうリクエストした結果、パメラがくれたのは小さなキーホルダー型のおもちゃだった。つるつるしたプラスチックはカメラのような形になっていて、レンズを除くと中にイラストが見える。 カメラについているダイヤルをカチカチ回すと、絵が何種類にも変わるようになっていた。それを、なんとパメラはピンクのものとブルーのものの2つもレイチェルにくれた。

「すごいわ! マグルって本当に、よくこんなことを考えつくわよね!」
「あんまりやるとすぐ壊れるわよ、レイチェル。ドラッグストアに売ってるような、安いやつだもの。テトリスにしよう と思ったんだけどよく考えたらホグワーツって精密機器使えないのよね」

欠伸をしながらパメラが言う。後半何を言っているのかまったくわからなかったが、レイチェルはレンズを覗きこむのに夢中で気にしなかった 。ダイヤルを切り替える度、リボンをつけた富士額の黒ネズミがケーキを作ったりドレスを着替えたりと、ネズミのくせに人間のような行動をしていた。もう一つの方では、セーラー服を着た白いアヒルがリスを追いかけたり、海水服を着てダイビングをし たりしている。

「ねえパメラ、何でこのネズミ、子猫を飼ってるの? マグルの世界だとネズミより小さな猫が居るの? リスは普通の大きさなのにどうしてネズミだけ大きいの?」
「ああ、もう、説明が面倒くさい……知らない。私もう寝るから、また今度ね」
「パメラ! ねえ、パメラったら!」

レイチェルはまだまだ話を聞きたかったが、パメラはベッドに入るとさっさとカーテンを閉めてしまった。キャンキャンと追いすがってみるものの、パメラは会話を再開してくれる気はないらしい。仕方がないので、レイチェルはむうと眉を寄せて自分もベッドに入ることにした。

「おやすみ、パメラ。明日絶対教えてね!」

一方的な約束を投げかけ、そしてまた、カチッカチッとダイヤルを弄り始める。またもカラフルなイラストが次々に切り替わり、レイチェルは夢中になって朝までそれを眺めていた。翌日の授業には寝不足で参加することになった。魔法史でこっくりこっくり船をこいでいたせいでエリザベスには叱られたが、後悔はしていない。

ちなみにこのおもちゃの対象年齢が一ケタであることを、レイチェルは知らなかった。

(賢者の石編3月没エピソード)

マグル文化と黒ネズミ

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