2月になった。
相変わらず空気は肌を刺すように冷たく、空は分厚い灰色の雲に覆われていたが、そこから落ちるのは雪から雨へと代わった。一面が白く覆われていた校庭では、まだらに溶け始めた雪の間から緑の芝が覗いている。春の訪れを告げるクロッカスはようやく蕾をつけはじめたばかりで、花を咲かせるにはまだ少し時間がかかりそうだ。

「パス!」
「こっち空いてる!」

先日クラムや他校生を交えてプレイして以来、クィディッチのミニゲームは恒例となった。どうやら、他校生達もクィディッチがしたいと思っていたらしい。今日は朝から晴れていたから、皆張り切って飛び回っている。友人達に誘われたので来てみたけれど、やっぱりレイチェルはクィディッチは見ている方が好きかもしれない。

「禁書の棚の許可は下りたの?」
「ええ。勿論、正式に許可されてるのはハリー1人だけだけど。今なら、あそこにある本を何でも借りられるの。……誘惑だわ」

同じくクィディッチは観戦派のハーマイオニーと並んで、のんびりとそんな会話をする。本を片手に悩ましげに溜息を吐くハーマイオニーに、レイチェルは苦笑した。本の虫の彼女にとっては、確かにそれはウズウズしてしまう状況だろう。

「スポーツは国境を越えるって言うけど……魔法使いの世界も同じなのね」

ワッと上がった歓声に本から視線を上げたハーマイオニーが、感慨深そうに言った。ちょうど、ロジャーがボーバトンの男の子からのパスで、ゴールを決めたところだった。キーパーはセドリックだったけれど、本来のポジションではないから完璧にとは行かないようだ。こっちに気が付いたチョウ、それにボーバトンの男の子が手を振ってくれたので、レイチェルも振り返す。

目の前で繰り広げられている光景は、夏休みのレイチェルにとっては想像もしなかったものだ。

それは勿論、あのヴィクトール・クラムが居ると言うこともだけれど────こんな風に、レイチェルの友人達が他校生と一緒に仲良くクィディッチをしていることも。ハロウィーンの前日、彼らがホグワーツへ来たときはどこか壁があると言うか、近寄りがたい雰囲気で、仲良くなるのは難しいんじゃないかと思ったのに。目の前の和やかな雰囲気を見ていると、何だかそれが遠い昔のことに思える。
もしかすると、ハーマイオニーの言うようにクィディッチがもたらす効果なのかもしれない。そう言えば、以前ドラゴン研究所に行ったときも、イタリア旅行でも、セドリックはクィディッチをきっかけに周囲と打ち解けていた。今度はチェイサーのポジションになったセドリックは、ダームストラングの男の子と笑顔でハイタッチしている。

「……対抗試合の会場がホグワーツでよかった」

もしも他の学校だったら、きっとセドリックは今頃ここには居なかった。
レイチェルは選手団に入れないから────参加資格があったとしても立候補したかわからないし────ホグワーツに残ることになってしまっただろう。せっかくセドリックが頑張っているのに、その活躍が近くで見られないのは寂しい。レイチェルだけでなく、チョウやホグワーツのほとんどの生徒も同じ状況だったはずだ。

「……何か言った?」
「ううん。何でも」

まあ……ハリーは開催校がホグワーツでなければ、代表選手に選ばれることもなかっただろうから、よかったと言い切れることばかりではないのかもしれないけれど。
それに、開催されたのが今年でよかった。来年だったら、NEWTが心配で対抗試合どころではなかっただろう。 自分の試験勉強に手一杯で『そんなの私には関係ない』なんて考えてしまっていたかもしれない。

「クィディッチしてるときのヴィクトールって、やっぱり素敵よね」
「……ええ」

どのポジションでも、やっぱりクラムは大活躍だ。箒に乗っているときの佇まいからどこか違っていて、パッと目を引く。こうして外から眺めていると、クラムは自分がゴールを決めるより、他のメンバーが楽しくプレイできるようにアシストしているのがわかる。ワールドカップの決勝のときもそうだったけれど、周りがよく見えているからこそなのだろう。

「ねえ……レイチェル
「何?」

視線に気が付いたのか、クラムがこっちに軽く手を振ってくれた。やっぱり、余裕がある感じだ。レイチェルが感心していると、ハーマイオニーに名前を呼ばれた。彼女の声はクラムとは逆に、どこか深刻そうな雰囲気だ。

レイチェルは、その……ジョージと……キス、してるわよね?」
「え? ええ……」

唐突な質問に、レイチェルは戸惑った。まさか、ハーマイオニーにも見られていたのだろうか? そうでなければ、からかわれている? いや、ハーマイオニーの性格から言ってそれはないだろう。意図を測りかねて、ハーマイオニーの顔を見返すと、その表情は真剣そのものだった。

「私も、あの人とキスしたの……パーティーの夜に。それ以降は、その、特にそう言う雰囲気にはならなかったんだけど……でも、この間……図書室でキスされそうになったから、その、つい、驚いて……避けちゃったの……」

ハーマイオニーの声は小さく、消え入りそうだった。リンゴのように頬を真っ赤に染めたハーマイオニーは、いかにも恋する乙女と言った雰囲気で……とても可愛い。レイチェルもつられるように、声を落とした。

「その……嫌だったの?」
「そうじゃないけど……だって、図書室って勉強するところでしょう? 誰が通りかかるかわからないし……」

あまりにも尤もなハーマイオニーの言葉に、レイチェルは視線を泳がせた。以前、図書室でキスをしたことを責められているような気分になって、ちくちくと良心が痛む。どう答えるべきかと迷っていると、急に背中に重みを感じた。

「何話してたの?」
「もしかして、コイバナ? 混ぜて混ぜて!」

アンジェリーナとアリシアだった。どうやら、今は休憩らしい。会話を諦めたのか、再び本を読み出した────恋愛相談ならたぶんレイチェルより彼女達の方が頼りになると思うのだけれど────ハーマイオニーの顔を、アンジェリーナ達が覗きこんだ。

「ねーぇ、ハーマイオニー。読書もいいけど、こんなところでじっとしてたら風邪引いちゃうわよ」
「見てるだけじゃ退屈でしょ?」
「私のことは放っておいて……この間と違って、人数は足りてるはずでしょう?」
「そうだけど! 1ゲームだけ! 1ゲームだけ参加しない? あ、勿論レイチェルも!」

グリフィンドール生達と過ごしていると、パメラの言っていたことの意味がわかるような気がした。
雰囲気とか距離感。会話のテンポ。彼らの間では当たり前に皆が知っている同寮生の話。そう言ったふとしたことから、彼らはいつもこんな風に過ごしているのだろうな、と感じさせられる。もしかしたら、セドリックとレイチェルも他の人から見たらこうなのかもしれない。
彼らと一緒に居ると、どうしても他寮生のレイチェルは“お客様”だ。別に、無視をされているわけじゃない。むしろ、気を遣ってもらっている。だからこそ、壁を感じてしまう。ほんの少しの、疎外感に似た何か。
寂しいけれど、たぶんどうしようもないものなのだ。彼らには彼らの間に積み重ねた時間があって、レイチェルにはそれがないから。このちょっとしたぎこちなさを埋めるには、きっとレイチェルの方も彼らと長い時間を積み重ねるしかないのだろう。

グリフィンドールに組み分けされていたら、こんな風にジョージともっと一緒に居られたのだろうか?

もしも、レイチェルがグリフィンドール生だったら。アンジェリーナ達とルームメイトになって、もっと仲良くなっていたのかもしれない。ハーマイオニーだって、アリシアに対しての方が、レイチェルと居るときよりも遠慮がないように見える。ジョージやフレッドとだって話す機会が多くて、その優しさにもっと早く気が付くことができたのかも。そうしたら……もっと早く、ジョージを男の子として意識していただろうか?
それに、ハリーのことも。あんな風に嫌ったりせず、入学してすぐ友達になっていたかもしれない。同じ寮の上級生として、ハリーにもっと親切で……「ダイアゴン横丁で会ったね」なんて、ハリーに笑いかけることができていただろうか?

「……レイチェル、なんか最近グリフィンドール生とばっかり遊んでない?」

夕食の前に荷物を置きに部屋に戻ると、どうやらパメラ達はレイチェルの帰りを待っていてくれたらしい。憮然とした口調で質問されて、レイチェルは自分のそんな考えが見透かされた気がしてギクッとした。

「昨夜だって、グリフィンドールのテーブルで宿題してたし!」
「あれは……アリシアが、変身術のレポートがわからないって言うから……」
「私だってわかんないわよ! 私だって聞きたかったのに!」

アリシアばっかりずるいとパメラが大きな目を潤ませたので、レイチェルは驚いた。確かに今回の変身術のレポートは難しかったけれど、まさか泣くほど追いつめられていたなんて────と思ったけれど、どうやらそうではないらしい。

「ジョージとの時間は仕方ないけど!そこは遠慮するけど! アンジェリーナ達とばっかりじゃなく、私とも遊んで!」
「パメラ……貴方、そんな子供みたいな駄々をこねて……レイチェルが困ってるわ」
「何よ! エリザベスにはわかんないわよ! 親友2人に一気に彼氏ができた私の気持ちなんて!」

もしも、レイチェルがグリフィンドールに組み分けられていたとしたら。
そうしたら、きっとパメラやエリザベスとは今ほど仲良くなれなかっただろう。ペネロピーやチョウ、マリエッタ、ルーナにロジャー、他のレイブンクロー生達とも。それは嫌だ。
それに、組み分け帽子がレイチェルに提案した寮は、レイブンクローとハッフルパフの2つだった。もしも、どうしてもグリフィンドールがいいとお願いして、組み分け帽子が聞き入れてくれたとしても……彼らの“問題行動”が自分の寮の得点に関わるとなったら、ジョージやハリーのことだってかつて以上に嫌っていた可能性もある。
だからきっと、「もしも」なんて考えても仕方のないことなのだろう。

 

 

 

何だか最近、毎日がとても穏やかだ。
いや、勿論ホグワーツ城はいつも通り騒がしい。2月に入り第2の課題が近づいてきたこともあって、生徒達だけでなくゴーストや肖像画までもがその話で持ちきりだ。とは言え、心配していたハーマイオニーとリータ・スキーターの件も今のところ静かだし、ペネロピーも随分と元気になったように見えた。アリシアもマイルズと仲直りできたらしいし、クラムとハーマイオニーも図書室で一緒に居るところを見かける。グリフィンドール生達に混ざって過ごすのは楽しいし、友達が増えた。強いて悩みを上げるとすれば、課題をする時間が減ったことや、パメラ達とのおしゃべりで夜更かしするようになってしまった分、ちょっと寝不足なことくらい。

「3月になったら、クィディッチの試合をしようって話してたんだ。僕達ホグワーツ生は寮ごとに……他校生チームも作って」
「楽しそう!応援に行くわね。あっ、でも、セド達の……ハッフルパフって確かビーターとチェイサーが1人ずつ卒業しちゃったのよね?」
「そうなんだ。試合までに探さないと……誰か居ないかな」

詳しくは聞いていないけれど、セドリックの課題の対策も順調なようだ。それに、クラムやフラーも。最年少のハリーはちょっと心配だけれど……ハリー達仲良し3人組は、最近図書室で熱心に調べ物をしている姿をよく見かける。禁書の棚まで調べられるようになったなら、ハーマイオニーならきっと何か上手く作戦を立てるに違いない。

「あたしさ、てっきりジョージは同情であの子のこと誘ったのかなって思ってたんだけど……ジョージの方が結構あの子のこと好きっぽいよね」

ジョージとの関係も、順調なのだと思う。
周りに友人達や下級生が居ても、ジョージがスキンシップを取りたがる────勿論皆の前ではキスはしていないけれど────「振られたレイチェルを気の毒に思って誘った」とか「お互い恋愛感情はないけれど仕方なく付き合っている」なんて噂は下火になってきているようだった。

「ジョージって本命の前だと意外と態度変わるタイプだったんだねー」
「わかる。付き合ったとしても、もっと友達っぽい感じかと思ってた」
「あの子、セドリックと仲良いじゃん。牽制でわざとやってたりして!」
「だとしたらヤバイよね! 超イケメンの幼馴染と彼氏に取り合われるとかさー」
「えー、でもセドリックはセドリックでチョウとラブラブじゃん」

……それはそれで、また別の憶測を呼んでいるようだけれど。
もしかしたら、ジョージはあの噂を気にして、わざと皆の前で……イチャイチャしたがっているのかな、なんて思ったりもする。いや、でも、2人きりでもイチャイチャしたがるからこれは少し考え過ぎだろうか?

「できた!」

バレンタインに贈る予定のマフラーも、無事完成した。途中で1回解いて編み直した成果か、なかなかいい出来だ。マグル式で編んだのは初めてだったけれど、とても楽しかった。後は、綺麗にラッピングしてカードを書けばいいだけ。喜んでくれたらいいな、と思う。

「読み終わった?」

本から顔を上げたら、隣に座ったジョージにそんな風に笑いかけられた。
えっと……そうだ。すっかり本に夢中になっていたけれど、ジョージと空き教室で2人で過ごしていたのだった。ジョージの方も悪戯の計画を練っていたはずなのだけれど、そっちはもう終わったようだ。

「君、本読んでるときって表情がコロコロ変わるよな」

どうやらさっきからレイチェルの横顔を眺めていたらしい。全然気が付かなかった。退屈していたのなら言ってくれればよかったのに、とレイチェルは恥ずかしくなって視線を逸らした。
ジョージの腕がレイチェルの腰へと回って、抱き寄せられる。何も言わず、じっとレイチェルを見つめるジョージがキスを待っているのだと気が付いて、レイチェルは視線を泳がせた。……いや、でも、照れていても余計に恥ずかしいだけだ。一瞬躊躇ったものの、その唇へと軽く口づけた。

「……これでおしまい?」

ジョージが囁いて小首を傾げるから、レイチェルは喉の奥で呻いた。こう言う、甘えるようなジョージの態度に弱い。そのことに、ジョージにも気付かれているような気がする。
ジョージの頬を両手で包みこむようにして、2度、3度と唇を食むようなキスを繰り返した。最初のときに比べれば、マシになったと思うけれど……やっぱりジョージがするのに比べると、拙いと言うか、ぎこちないのが自分でもわかってしまうから、居た堪れない。
ジョージに言われた通り、レイチェルはたぶんキスが下手なのだろうと思う。ジョージからしてもらっても、あまり上手く応えられている気がしないし……特に、ディープキスって苦手だ。でも、ジョージは好きみたいだし……上達できるよう努力はしたい。すぐには、無理かもしれないけれど……レイチェルからキスをすると、ジョージが喜んでくれるから、それが嬉しい。

「ね、ジョージ……」
「ん? 何?」

レイチェルなりに、頑張ってはいるつもりなのだけれど……ジョージは満足できているのだろうか?
ああ、またあの目だ。あの、フワフワの猫を見る目。問いかける声の甘さに、胸がきゅうと締め付けられる。聞けなかった言葉の代わりに、ジョージの肩へもたれかかった。ジョージの胸へと寄せた耳からトクトクと、心臓の音がする。気付かれないように、レイチェルはそっとジョージの顔を見上げた。

……この人、どうしてこんなに私のことを好きでいてくれるんだろう?

ロマンス小説のような熱烈な愛の言葉はなくても、視線で、態度でわかってしまう。ジョージが、レイチェルを好きでいてくれていること。レイチェルが思っていたよりも長く、深く。そして、たぶん────レイチェルはまだ、ジョージに同じだけの気持ちを返せていないこと。

ジョージのことが世界で1番好き、って言えたらいいのに。

「“ただの幼馴染”より“彼氏”の方が大事だよね」とか。「ようやくセドリック離れしたんだ」とか。そんな風に同級生の女の子達にからかわれるたび、ほんの少し苦しくなる。それが当然なのだと、そうあるべきだと言われているような気がして。そうじゃなければ、ジョージが何より大切だと思えなければダメなのだろうか? セドリックのことを特別だと思うのは、恋人に、ジョージに不誠実なこと?

セドリックと距離を置きたくない、なんて思うのはレイチェルのわがままで────ジョージの優しさに甘え過ぎているのだろうか?

セドリックのことは大切だけれど、レイチェルの恋人はジョージ1人きりだ。キスをするのも、こんな風にレイチェルに触れるのも、ジョージだけ。セドリックと過ごしていた時間をジョージと過ごして、セドリックとはしないことをしている。それだけじゃ、足りないの?
それとも────足りないのはレイチェルの気持ちなのだろうか? そうでなければ、時間? もっとジョージを好きになれば……キスの続きをして、セドリックよりも長く時間を重ねていけば、いつかジョージが何よりも大切だと、そう思えるようになるのだろうか?

「この間、君の髪を結んだとき、気付いたんだけどさ……それ、してくれてるんだな」
「だって……気に入ってるもの。今日も付けてるし……」

それ、と言うのはジョージがホグズミードで選んでくれたネックレスだろう。淡い水色のガラスがはめ込まれた、小さな花のネックレス。今はブラウスの下に隠れてしまっているからジョージには見えないのだと気が付いて、鎖を手繰り寄せて襟の中から取り出してみせる。

「……やっぱり、君によく似合ってる」
「ありがとう」

ジョージの目元がふっと柔らかくなったので、レイチェルも微笑み返した。
窓から差しこむ夕陽が、ジョージの頬を照らしていた。その目の奥に、レイチェルの影が映っている。骨ばった手がレイチェルの顎へと添えられて、長い指がレイチェルの唇をなぞる。今からキスをするのだと、そう刻み込もうとするみたいに。さっきとは違う、熱を孕んだ瞳に見つめられると、ゾクリとしたものが背中に走る。柔らかな粘膜が触れ合う感触に、肌が粟立った。

1週間前より、昨日より、今日の方がジョージを好き。

恋人になる前はどうしていたのか、思い出せなくなりそうなくらい。穏やかで、心地いいこの時間が好き。触れるだけの、浅いキスも好き。キスのとき、伏せた睫毛が光に透けるのも好き。
髪を撫でるジョージの手が優しいから、このままずっとこうしていたいな、なんて思ってしまう。まだ寮に戻りたくない。でも、そんな風に言ったらジョージを困らせてしまいそう。……困った顔を、ちょっと見てみたい気もするけれど。想像して小さく笑ってしまったら、咎めるように唇を軽く噛まれた。

今この瞬間に、時間が止まってしまえばいいのに。

ジョージと一緒に居るときだけじゃない。今の毎日が、本当に楽しくて。こんな時間をずっと重ねていけたらいいな、と思う。こんな日々が、ずっと続いてほしい。今のこの穏やかで優しい時間を、ジョージがくれたあのガラス玉の中に、全部閉じ込めておけたらいいのに。
温かなバスタブに浸かっているときや、柔らかなブランケットに包まっているみたい。お腹の底や、指の先まで、温かなもので満たされている。幸せすぎて、心地よくて────ほんの少しだけ不安になる。いつか、壊れてしまいそうな気がして。何か、大切なことを忘れてしまっているような気がして。
ジョージの首に腕を絡めて、深くなっていくキスを受け入れる。シャラ、と微かな音を立てて細い鎖が首筋で揺れる。そう言えば、とレイチェルはぼんやりとした頭の片隅で考えた。

そう言えば、失くしてしまったあのネックレスって結局どこに行ってしまったんだろう?

何度も探してみたけれど、見つけられなかった。気に入っていたから、失くしてしまったのは悲しかったけれど……結果的にはこれでよかったのかもしれない、とも思う。あの日ネックレスを失くさなかったとしたら、きっと新しいものを買おうとは思わなかっただろうから。たぶん、今レイチェルの首にこのネックレスはかかってはいなかっただろう。そう考えると、何だか寂しい。
大切にしよう、と思う。せっかくジョージが選んでくれたから、今度はなくしてしまわないように。

 

 

「わあ、見て!綺麗なふくろう!」

金曜日、朝食の席で新聞を読んでいると、1年生の女の子達がはしゃぐ声が聞こえてきた。視線の先を追うと、天窓から1羽のふくろうが入って来たところだった。雪のように真っ白な、美しいふくろうだ。その白ふくろう────ヘドウィグは優雅に滑空すると、小さな包みを括りつけられた足をレイチェルへと差し出した。

レイチェルのペットなの? いいなあ!」
「撫でてもいい?」
「違うわ。友達のふくろうを貸してもらったの」

目をキラキラさせる1年生達に、レイチェルは苦笑した。どうやら、ハリーの言った通り、ヘドウィグは無事にルーマニアまで手紙を配達してくれたらしい。それに、たった1回会ったきりなのに、レイチェルの顔を覚えてくれたようだ。

「手紙をありがとう、ヘドウィグ。とっても助かったわ」

トーストの耳をちぎって差し出すと、ヘドウィグが親しみをこめてレイチェルの指を甘噛みした。その仕草が可愛らしくて、頬が緩む。ふくろう小屋での様子から気難しいふくろうなのかと思ったけれど、意外と人懐っこいようだ。

「ハリー」

大広間の入り口で、レイチェルは目的の人物を見つけて呼び止めた。
ここのところ、ハリーはいつ見ても憂鬱そうな顔をしていたので、あの中庭での一件以来、話しかけるのは躊躇ってしまったのだけれど────ヘドウィグが無事に手紙を届けてくれたことは、ハリーに報告した方がいいだろうと思ったからだ。

「あの……今って話しかけても大丈夫?」
「アー……ウン。平気だよ」

ハリーはハーマイオニーとロンと一緒だった。2人が居ても困るような話ではないのだけれど、気を遣ってくれたらしい。彼女達が先に授業へと向かったので、自然とレイチェルはハリーと2人で向かい合う形になった。

「それで……どうしたの?」

眼鏡の向こうの瞳が、不思議そうに瞬く。鮮やかな緑の瞳に真っ直ぐに見つめられて、レイチェルはたじろいだ。ハリーの目って、本当に宝石みたいに澄んでいる。それに、最後に顔を合わせたとき微妙な空気になったのを思い出してしまって、ちょっと気まずい。

「あのね。ヘドウィグが今朝、手紙の返事を届けてくれたの」
「ヘドウィグが?」
「ええ。こんなに早く戻って来るなんて思わなかったから、驚いたわ。本当に賢いふくろうなのね」

そう言う意味では、会話のきっかけをくれたヘドウィグには感謝するべきだろう。ハリーの方もこの間のことは気にしていなさそうだったので、レイチェルはホッとした。あのときできた切り傷も、もうすっかり治ったようだ。よかった、とレイチェルは微笑んだ。

「大切なふくろうを貸してくれてありがとう」
「どういたしまして。僕の方も助かったよ。あの後、すぐシリ……えっと、手紙を出す用事があって。他のふくろうに頼んだってヘドウィグが知ったら、きっとまた怒っただろうから」

茶色や黒のふくろうの中だと、真っ白なヘドウィグはパッと目を引く。ホグワーツでさえこうなのだから、マグルの街では余計に目立つだろう。マグルの親戚とは仲が悪いと聞いたことがあったけれど、頻繁に手紙のやり取りがあるのなら、以前より関係が改善しているのかもしれない。そうならいいな、と思う。

「それでね、これ……よかったら。お菓子。甘いもの、嫌いじゃないって聞いたから……」
「ありがとう。僕、これ好きなんだ」

ようやくハリーが明るい表情を見せたので、レイチェルも嬉しくなった。ふにゃっと表情を緩めたハリーは何だかいつもより幼く見える。この間ハニーデュークスで買った、糖蜜タルト味のクッキーだ。ジニーから好物だと聞いた記憶があったのでこれにしたけれど、どうやら喜んでもらえたらしい。レイチェルが内心胸を撫で下ろしていると、ハリーが何かを思い出したように「あっ」と声を上げた。

「そうだ。僕も、君に渡さなきゃいけないものがあったんだ」
「私に?」
「うん。……あ、でも、部屋に置いてあるんだった……」

ポケットの中を探ってみたものの目当ての物は入っていなかったらしく、ハリーが溜息を吐いた。
レイチェルに渡したいもの? 一体何だろうと不思議に思っていると、ハリーは時計を確認して表情を曇らせた。

レイチェルも今から授業だよね?」
「ええ」
「うーん……なら、放課後かな。今日も図書室に行くの?」
「そのつもりだけど……」
「じゃあ、図書室で待っててくれる? ごめん、僕急がなきゃ。今からスネイプの授業なんだ」
「ええ。それなら……3時に図書室で」

そうして、ハリーはパタパタとハーマイオニー達の後を追って行った。
レイチェルもルーン文字の教室へと向かったが、授業中もさっきのハリーの言葉が気になってしまった。渡したいものって何だろう? 想像がつかない。ハリーもお菓子をくれるつもりなのだろうか? あれはお礼に渡したものだから、必要ないのに。……あ、もしかして、クリスマスカードのお返しとか? いや、でも、カードの交換の約束をしたのは来年だ。

レイチェル

授業が早く終わったので、レイチェルは約束の時間より20分も前に図書室に着いてしまった。まだハリーは来ないだろうと、本棚からレポートに使えそうな本を探していると、誰かに声をかけられた。誰かと言うか、ハリーに。

「あ……ごめんね。席に居なくて……見つけにくくなかった?」
「まあね。でも、僕、君のこと見つけるのって結構得意なんだ」
「そうなの?」

冗談めかしてハリーが笑ってみせたので、レイチェルは思わずクスクス笑ってしまった。

「僕の方こそ、待たせてごめん」
「ううん。私もさっき来たところだから」

そう言えば、ハリーとこんな風に待ち合わせするのって初めてだ。
いつもは偶然会ったときに話をするだけだったから。改めて友達になったのだと実感できて、何だかくすぐったい。ハリーも同じように感じているのか、ちょっと照れくさそうだった。気恥かしさを誤魔化すように髪を耳へとかけて、レイチェルはハリーを見上げた。

「えっと……渡したいものって……?」
「これ」

ハリーがそう言って、ポケットの中から何かを取りだした。広げた手の平の上に置かれたそれは、光を反射してキラッと輝く。細い金色の鎖の先に、小さな1粒のガラス。見覚えのあるそのデザインに、レイチェルは目を見開いた。

レイチェルの……だよね?」
「……ええ。ハリーが拾ってくれてたの?」

確かに、レイチェルが失くしたと思っていたネックレスだ。ホグズミードの雑貨屋で買った、つまり他に持っている人が居る可能性もあるので、絶対に自分のものだとは言い切れないけれど……でも、たぶんレイチェルのものだ。

「遅くなってごめん。クリスマスの夜に拾ったんだけど、すっかり忘れてて……この間、君とふくろう小屋で会ったとき思い出して、渡さなきゃと思ってたんだけど……僕、対抗試合の課題のことで頭がいっぱいで……」
「あ……ううん。気にしないで……もう戻って来ないって思ってたから……」

申し訳なさそうに眉を下げるハリーに、レイチェルはとんでもないと首を振った。確かに失くしてしまったのは悲しかったし、探していたけれど……そこまで必死に探していたわけじゃない。お気に入りだったけれど、誰かの形見や本物の宝石と言うわけじゃないから。正直、もう出て来ないだろうと諦めていたのだ。ハリーは対抗試合の課題も控えていて忙しいのだから、ネックレスを拾ったなんて些細なことは忘れてしまっても仕方ない。

「ありがとう、ハリー」

それでも、失くしたと思っていたものがこうして手元に戻って来たのはやっぱり嬉しい。ハリーの部屋に置いてあったのなら、呼び寄せ呪文で出て来なかったのも納得だ。見たところ、チェーンが切れただけみたいだから、これならレパロで直せるだろう。

「でも……どうして、私のものだってわかったの?」

よく言えばシンプル。つまり、端的に言えば特徴のないデザインだ。イニシャルや名前が入っているわけじゃないから、レイチェルですらこれが自分の物かどうか確信が持てないのに。
さっきハリーは、クリスマスの夜に拾ったと言っていたけれど。パーティーにはたくさんの人が居たし、元々これがレイチェルの物だと知っていたわけでもないだろう。レイチェルが不思議に思って尋ねると、ハリーが微笑んだ。

「クリスマスの夜、僕とぶつかりそうになったの、覚えてる? その後、僕のドレスローブの胸ポケットこれが引っかかってたから……たぶん君のだってわかったんだ。それで、渡そうと思って探したんだけど……」

レイチェルはあの夜の記憶を引っ張り出そうと試みた。確か、ハリーと会ったのは……パーティーが始まってすぐだった。ジョージがバグマン氏を見つけて、話をするために別れたとき。転びそうになったところを、ハリーが支えてくれたのだ。ネックレスはそのとき外れてしまったのだろう。

「その……君はジョージと一緒だったし、何て言うか……声をかけにくい雰囲気だったから……」

気まずそうに口ごもるハリーに、レイチェルは首を傾げた。
その後、レイチェルはどうしたんだっけ? ハリーとは、少し会話しただけですぐに別れたはずだ。ロンと一緒に大広間を出て行ったのを不思議に思ったような記憶がある。それで……バグマン氏との話が終わったジョージと合流したはずだ。いや、違う。その前にドラコと踊ったことでジョージが急に不機嫌になって、レイチェル達も大広間を出た。そして、大広間を出た後は────そこまで考えて、レイチェルは何だか嫌な予感がした。

「えっと……聞いても良い? ハリーが私に声をかけようとしてくれた場所って……」
「……庭園だよ。僕達もあそこを散歩してたら、君達を見かけて……その……覗くつもりはなかったんだけど」

ごめん、とハリーが小さく呟いた。その頬が少し赤いことに気が付いて、レイチェルの方も頬に熱が集まるのを感じた。やっぱりだ。あの後はジョージと庭園に行って、東屋で話して────キスをした。しかも、覚えてないくらい、何度も。ハリーが見たと言うのは、たぶんそのときだ。

『2人きりだって思ってても、意外と色々なところから見えてるし、誰かに見られてるもんだぜ』

ロジャーの言っていた通りだ。あのときも見られていた。あの庭園は生垣に囲まれていたから、きっとその向こうにハリーが居たのだろう。もしかしたら、会話も聞かれていたかもしれない。あのとき、ジョージとどんな話をしていたっけ────?

「……とにかく、その、渡せてよかった。じゃあね」
「ええ……またね」

足早に去って行くハリーの姿に、ホッとした。けれど、どうしてかその背中が遠ざかっていくことに、胸が締め付けられたように苦しくなった。恥ずかしい。泣きたい。どうして。こんなはずじゃなかった。そんな思いが、ぐるぐると回る。
心臓が、皮膚を食い破りそうにうるさい。頬は燃えるように熱いのに、指先はひどく冷たい。
違うのだと、ハリーを追いかけて弁解してしまいたくなる。いや、ジョージとキスをしていたのは事実だ。何も違わない。でも、あの夜は特別で……レイチェルも少し、雰囲気に酔っていた。もっと、ハリーと話がしたかったのに……もう少し、何か言うべきことがあったはずだと思うのに。足がそこだけ泥の中に沈んでしまったように重くて、動かない。

よりによって、ハリーに見られるなんて。ハリーには……ハリーにだけは、見られたくなかった。

…………どうして?
どうして、ハリーに見られたくないと思うのだろう?ハリーは確かに気まずそうだったし、他人の────しかも知り合いがキスしているところを見てしまうなんて、嬉しくはないだろう。でも、あの夜は誰もが浮かれていて、皆が見ている前で堂々とキスしているカップルだって居た。ハリーが目撃したキスシーンは、たぶんレイチェル達だけじゃない。キスなんて、大抵のカップルなら当たり前にしていることで、ロジャーの言う通り珍しいことじゃない。セドリックが過剰反応したのは、セドリックがレイチェルの幼馴染だからで……もう1ヶ月以上も前のことだし、ハリーだって、きっとそれほど気にしてはいないだろう。ただ、本人の前でそれを伝えるのが気まずかっただけで。
だって……ハリーにとってレイチェルはただの知り合いの上級生だ。たくさん居る、顔見知りの1人でしかない。レイチェルがただ、ハリーのことをよく知っていると錯覚しているだけ。チョウとセドリックのキスならともかく、レイチェルのキスなんて見たところでハリーにとっては他人事でしかないだろう。
だからそう、こんなにショックを受ける必要はない。何とも思っていない女の子が誰かとキスしていたところで、ハリーが気にするはずなんてないんだから。レイチェルがジョージとキスをしていようが、他の誰かとキスしていようが、ハリーにとってはどうだっていいことのはずだ。

ハリーの想い人はチョウで……ハリーがキスをしたい女の子も、誰とキスしたか気にするのも、きっとチョウだけ。

だから、レイチェルも忘れてしまえばいい。ハリーだってきっと、すぐ忘れてしまうんだから。そう思うのに────胸の中に渦巻く不安は増すばかりで、ちっとも収まってくれない。
それに、とレイチェルは自分に言い聞かせた。ハリーだって、もう4年生だ。もう、出会った頃の小さな男の子なんかじゃない。もう背だってレイチェルより高いし、大人っぽくなった。まして、今は皆の憧れの代表選手で、ハリーに好意を寄せている女の子だってたくさん居る。

ハリーはもう、小さな男の子なんかじゃない。

あのパーティーの夜、ハーマイオニーがクラムとキスしたように。もしかしたら、ハリーだってパーバティとキスしたかもしれない。だってあの夜は、本当にロマンチックで────誰もが、クリスマスの特別な魔法にかかってしまっていた。ハリーだってきっと同じだっただろう。
ハリーがチョウに片想いしていると言っても……2人は付き合っているわけじゃない。ハリーには、他の女の子とキスをする自由がある。パーバティはパドマそっくりの美少女だし、小柄で、華奢で、チャーミングだ。皆の前で踊った2人は、とてもお似合いのカップルに見えた。パーバティだって、パートナーになると承諾したと言うことは、少なからずハリーに好意を持っているのだろう。結果的に上手く行かなかったただけで、ハリーだってきっとそのつもりで……彼女になってほしいと言う意味で彼女を誘ったはずだ。恋人同士になるはずだった2人なのだから、キスくらいしていたっておかしくない。
たとえ他に好きな人が居たとしても、あんなに可愛い子と2人きりで過ごしていたら、ハリーだってついキスしたくなったかもしれない。男の子は、好きな子が相手じゃなくてもキスができるって、前にロジャーが言っていたし。……いや、ハリーはロジャーとは違う気はするけれど。でも、ハリーがしなかったとしても、もしかしたらパーバティの方からキスを仕掛けたかもしれないし。あんなに可愛い子から、目を潤ませて「キスして」なんて言われたら、きっと断れる男の子は居ないだろう。

……ハリーもやっぱり、あの夜パーバティとキスをしたのだろうか?

パーバティの艶やかな黒髪や、頬に触れて────あのエメラルドのような綺麗な緑の瞳で、熱っぽくパーバティを見つめたのだろうか?
頭の中の2人が、寄り沿って楽しげに笑い合う。奇妙に胸がざわついた。何かが胃の中で蠢くような気持ち悪さを感じて、レイチェルはぎゅっと唇を結んだ。どろりとして、熱を持った何かが、胃の中で暴れている。嫌だ。考えたくない。こんな想像はするべきじゃないと、頭を振って2人の姿を追い出す。そこで、レイチェルははたと我に返った。

────どうして?

どうして、嫌だと思うのだろう?
もしかして、これってセドリックが不機嫌になっていた理由と同じだろうか? ハリーのことを、弟みたいに感じているから。だから……嫌だと感じてしまうのかもしれない。そう。家族みたいに思っているから……本当に? だって、それほどハリーと親しいわけでもないのに。セドリックほど長く一緒に過ごしたわけでもないのに、勝手にそんな風に思われたところで、ハリーには迷惑なだけだ。それに、ハーマイオニーやジニーのことだってハリーよりずっと付き合いの長い友達で、妹みたいに思っているけれど、ハーマイオニーがクラムとキスをしたと聞いても、レイチェルは落ち着いてその話を聞いていられた。

どうしていつも、ハリーに対してだけ、ハリーに関わることだけこうも動揺してしまうのだろう?

彼女達が女の子で、ハリーが男の子だから? でも、セドリックのことだって家族みたいに思っているけれど、ロジャーに2人もキスしているはずだと言われても、こんな風に嫌な気持ちにはならなかった。相手がクロディーヌだったときは、今と似た気持ちにはなったけれど……それはたぶん、あのときは彼女のことが苦手だったせいもあるだろう。自分の場所が、彼女にとられてしまうと思ったから。でも、ハリーの隣は最初から、レイチェルの場所なんかじゃない。たまたま、入学前に1度会ったから。ハリーが有名人だったから、レイチェルが彼のことを一方的に知っていただけ。

レイチェル

ハリーにとっては、レイチェルは顔見知りの1人でしかない。
あんな風に、親しげに笑いかけてくれるようになったのも。名前を呼んでもらえるようになったのも。友達と呼べる関係になったのだって、たった2ヶ月前のことなのに。それどころか、ハリーが入学してすぐの頃は……彼を傲慢な男の子だと思い込んでいて、ずっと彼のことが大嫌いだった。
誤解が解けた今もハリーのことがやけに気になってしまうのは、噂だけで嫌っていたことへの罪悪感のせいだろうか? いや、でも、それだけじゃない。もっとずっと前からだ。いつもそうだった。ハリーの言葉は、行動は、奇妙なほどにレイチェルの胸をざわつかせる。
どうしてか、頭の中にいつかのパメラに言われた言葉がこだました。

レイチェルの好きな人って、もしかしてハリー・ポッター?』

ずっと

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