「昨夜はごめん」

翌朝、レイチェルは授業でセドリックに会ったら何と言おうかと考えていた。が、まだその答えが出る前に寮を出たところでセドリックが待っていた。話がしたいと言われたので、そのままシャールの犬小屋があった場所へとやってきたのだ。

「あの……そもそも廊下で、その、私達が…………してたことが原因なわけで……セドはそれを運悪く見ちゃっただけだから……セドが謝る必要はないと思うわ」

昨夜、ベッドの中でも改めて考えてみた。考えてみて────やっぱり、セドリックは多少過保護だとは思う。でも、セドリックがそうなったのはたぶんレイチェルにも原因があるのだ。レイチェルがぼんやりしていて、警戒心に欠けていて、危なっかしいから。いや、ロジャーによればセドリックが過保護だからレイチェルは“そんな感じ”なのだ、なんて以前言われたけれど。

「でも……昨夜の僕の言い方って、すごく感じが悪かったと思う。本当にごめん」
「私こそ、ついムッとして言い返しちゃったし……ごめんなさい。これからは、その、人目に気をつけるから……」

ロジャーは「寮生活なのだから仕方ない」なんて言うけれど、レイチェルはやっぱりキスをしているところを人に見られるのは避けたい。たまたまセドリックだっただけで、誰が通りかかってもおかしくなかった。気をつけていたつもりだけれど、もしかしたらロジャーに指摘されたとき以外も誰かに見られていた可能性もある。今度からはもっと、場所とタイミングに気を付けて……2人きりだと確信できるときにしよう。

「じゃあ……この件はこれでもう、おしまい。忘れましょ? その……昨夜見たことも含めて。全部忘れて。ねっ?」
「うん……」

セドリックはまだ納得できていなさそうだったけれど、レイチェルはそこで話を終わらせることにした。これ以上、自分とジョージのキスが発端の話を続けるのは気まずい。セドリックが怒っていなくてよかった、と小さく息を吐いた。こんなことが原因で、セドリックと喧嘩になってしまうのは嫌だ。

「ほら、セド。急がないと、朝食を食べ損なっちゃう」

そうして、セドリックのローブの袖を引こうとして────レイチェルはハッとして伸ばした腕を引っ込めた。危ない。ほとんど無意識だった。癖って怖い。今はお互い恋人が居るのだから、「2人で手を繋いで歩いていた」なんて噂が立つとまずい。よく考えたら、そもそもこんな人気のないところで2人きりになること自体良くなかったかもしれない。誰かに見られたら、誤解されるかも。
レイチェルはくるりと踵を返し、城へと歩き出した。いや、でも、話していただけなのだから、後ろ暗いことは何もない。確かに、今のは人に聞かれたくない話ではあったけれど、ジョージやチョウに対して不誠実なことはしていない。堂々としていればいいはずだ。……たぶん。でも、話題が話題だけに気恥ずかしさは抜けなくて、いつもなら何ともないはずの沈黙が気まずい。

……昨夜のセドリックが感情的に見えたのって、ロジャーの言っていた通り独占欲だったのだろうか?

隣を歩くセドリックの横顔を見上げる。昨夜の様子が嘘みたいに、セドリックの態度は遠慮がちで控えめで、紳士的だ。穏やかで優しい、いつものセドリック。どうやら自己嫌悪に陥っているらしい様子に、レイチェルは申し訳ないような気持ちになった。元はと言えば、あんなところでキスしていたレイチェルとジョージが原因なのに。セドリックがこう言う顔をしているときは、頭を撫でてあげたくなるけれど……それがもうできなくなってしまったのは、ほんの少しだけ寂しい。
ロジャーが言っていたみたいに、ショックを受けたのかどうかはわからないけれど……セドリックが戸惑うのも無理はないのかもしれない。セドリックが他の女の子から好意を向けられる、と言うのは今まで何度もあったけれど、レイチェルの方はなかった。デートに誘われた、と言う話すら。いや、一応レイチェルだって好きな男の子も、好きになってくれた男の子も居たけれど、セドリックはそれを知らないわけだし。チャーリーだってジニーのパートナーのことは気にしていたし、妹分の恋愛は無関心ではいられないものなのかもしれない。

「ねぇ、セド。本当に……気にしてないからあんまり引きずらないで……言っておくけど、私の方が気まずいんだからね」
「……そうだよね。ごめん」
「……『そうだよね』って言われるのも、なんか……ちょっとイヤ」
「あ……ごめん」
「……セド、さっきから謝ってばっかり」

レイチェルがクスクス笑うと、セドリックもようやく笑った。
もしかしたら、と考える。レイチェルばかりセドリックのことを気にしていると思っていたけれど、レイチェルが今セドリックとの距離感に悩んでいるのと同じに、セドリックの方もどうしたらいいのかわからないのかもしれない。

「セド、変身術のレポートもうやった?」
「昨日、ようやく手を付けはじめた……魔法史のレポートと〆切が重なってるんだ」
「魔法史って、相変わらず課題多いの?」
「まあね。今は、杖の術の歴史をやってるんだ。面白いよ。……授業はちょっと眠くなるけどね」

おしゃべりしながら城へと向かっていると、向こうから見知った人物が歩いて来ることに気付いた。クシャクシャの黒髪に、丸眼鏡をかけた男の子。そして、ネクタイの色は遠目からでも目立つ赤と黄色のストライプ。

「やぁ、ハリー」

セドリックは朗らかに挨拶したが、ハリーからの返事はなかった。と言うか、声をかけられたこと自体気が付いていないのだろう。ハリーはこっちを振り返ることもなく、ボンヤリした表情のまま歩いて行ってしまった。

「……聞こえなかったのかな」
「たぶんね」

セドリックが残念そうに眉を下げた。わざと無視したと言うより、考え事をしていて上の空だったように見えた。何だか足取りもフラフラしていたし、この間見たときよりも更に顔色が悪かったように見えたので心配だ。

「せっかく同じホグワーツの選手同士だし、もっと話したいんだけどな……。あまり打ち解けられてなくて……」
「あー……」

学年も寮も違うせいかな、なんて困ったように苦笑するセドリックに、レイチェルは視線を泳がせた。たぶん、それだけではない気がする。この反応を見る限り、セドリックはハリーの想い人がチョウだと知らないのだろう。

「ねえ、レイチェルレイチェルのお父様なら、鰓昆布って手に入る?」
「鰓昆布?」

図書室で会ったハーマイオニーに唐突にそんな質問をされて、レイチェルは首を傾げた。鰓昆布。確か、OWLの試験範囲だった。灰緑色をした地中海原産の植物で、食べると鰓や水かきができるので、水中で呼吸が可能になる。

レイチェルもセドリックから聞いてるかしら? 第2の課題って、どうやら湖に潜らなけきゃいけないみたいなの」
「……ああ、やっぱり対抗試合関連なのね。鰓昆布……生徒用の薬品棚には置いてないんだったかしら?」
「ええ。スネイプなら、個人的に持ってるかもしれないけど……」

それもそうか、とレイチェルは頷いた。鰓昆布のような、『少量服用しただけで人体に著しい変化を与える薬草』は、取り扱いが法律で制限されている。未成年のレイチェル達には購入できない。自力で採集するか、成人の魔法使いに代わりに手に入れてもらうか────。

「今からだと、ちょっと間に合わないかも……」

魔法薬の研究をしているレイチェルの父親なら、たぶん鰓昆布を持っているだろう。魔法薬の材料には水中に生息するものも多いから、採集のときに使っているはずだ。ただ、問題は課題当日まで3週間ほどしかないことだ。今からルーマニアにふくろうを往復させるとなると、確実に間に合う保証はない。

「やっぱりそうよね」
「……力になれなくてごめんね」
「いいえ。たぶん無理だろうとはわかっていたの……ハリーも、もう少し早くヒントを教えてくれたらよかったのに」

もう少し早く相談されていたら、「任せてほしい」と言えたかもしれない。レイチェルにできることなら、協力してあげたかった。もう少し早く……もし、この間レイチェルの父親に手紙を出したときに、一緒に頼めていたら。そう言えば、あの手紙を出してからそろそろ2週間だ。あの綺麗なふくろう……ヘドウィグは、無事にルーマニアまで辿りつけただろうか? そう言えば、ヘドウィグを貸してもらったお礼もまだできてない。何か、レイチェルにも協力できることがあればいいのだけれど。

「スネイプ教授に分けてもらえないか聞いてみる…………のは、無理よね……ごめんなさい」

ハーマイオニーが眉を顰めたので、レイチェルは段々と言葉が小さくなった。よく考えれば、選手は自分1人で課題を解決することになっているのだから、「教授に頼んで分けてもらった薬草を使った」と言うのは、ルール違反かもしれない。鰓昆布を使うのなら、スネイプ教授の薬品棚以外のどこか別の場所から手に入れなければいけないのだろう。

「この課題、とっても難しいわ」

ハーマイオニーが溜息を吐いた。それはそうだろう。6年生の────つまりは誕生日さえ早ければ参加資格があったはずのレイチェルでさえ、自分がやってみるよう言われたら難しいと思う課題だ。ましてハリーはまだ4年生なのに、挑戦しなければいけないのだから。

「1番効果的なのは、体の一部を魚か何かに変身させることだけれど……ハリーって、変身術はそんなに得意じゃないの。失敗したときのリスクが大きすぎるし……」
「泡頭呪文は?」
「……普通に潜るだけならそれで問題ないわ。でも、1時間よ。あの呪文ってそんなにもたないでしょう?」

それもそうだ。泡頭呪文って、本来そんなに長時間潜ることは想定していない。1回浮上して、また魔法をかけ直すなら問題ないだろうけれど……レイチェルはハリーだけでなく、他の選手達のことも心配になって来た。セドリックやクラム、それにフラーはどうするつもりなのだろう?

「それに、攻撃を受けたら割れるかもしれないもの。だから、他の呪文で強度を上げなきゃいけないけど……普通に泡の膜を強化すると、酸素を通しにくくなっちゃう。効果はそのまま、強化して、しかも時間を伸ばすってなると、いくつも呪文を複雑に組み合わせることになるの。NEWTレベルの魔法だわ。今から猛練習したとしても、試合で使うのはとても勧められない」

ハーマイオニーの重々しい口調に、レイチェルはパチパチと瞬いた。
すごい。ハーマイオニーって、ホグワーツに入学するまでは魔法なんて知らなかったはずなのに、彼女のこの聡明さはどこから来るのだろう? レイチェルもそれなりに本を読んでいる方だと思うけれど、きっともう読書量も知識量もとっくに追い越されてしまっている。ホグワーツの図書室には数えきれないほど本があるけれど、ハーマイオニーなら卒業までにほとんどを読み切ってしまうかも。そうだ。“読み切れない本”と言えば────。

「禁書の棚にある本なら、何か私達が知らない呪文が載ってるかも……」
「私もそう思うの。マクゴナガル教授に相談するよう、ハリーに言ってみるつもり」

レイチェルの読んだ本に載っていた「水の中で息が続く呪文」は泡頭呪文だけだったけれど、まだ読んだことのない本になら載っているかもしれない。閲覧禁止の棚は基本的に下級生には許可が下りないけれど、対抗試合のためとなれば話は違うはずだ。

「何か、使えそうな呪文が見つかればいいんだけど。ここのところ、ハリーもすっかり憔悴しきってて……見てられないわ」
「私も…………ううん、何でもない」

自分も調べ物を手伝えないか、と言おうとしてレイチェルは途中でその言葉を引っ込めた。少し考えればわかる。たぶん、レイチェルが調べられる範囲のことなんて、ハーマイオニーならとっくに調べ尽くした後のはずだ。それに、レイチェル個人では禁書の棚の閲覧許可を取るのも難しいだろう。

「……最近、ハリーが悩んでる様子なのって対抗試合の課題のことなの?」
「え? ええ。だと思うわ」
「そう……」

その言葉に、レイチェルはホッと胸を撫で下ろした。そして、そんな自分に思わず首を傾げた。……ホッとした? どうして? ハリーが対抗試合のことを不安に思っていると言うのに、どうして安心するのだろう? むしろ、友人として心配すべきことのはずだ。
たぶん……ハリーが暗い顔をしているのは、チョウとセドリックのことが原因じゃないかと考えていたからだ。となると間接的に、セドリックにチョウを誘うよう急かしたレイチェルも無関係じゃない。自分がきっかけを作ったせいで、友人が悩んでいるわけではないとわかったから。だから、自分勝手だけれど安心してしまったのだろう。課題のことで切実に悩んでいるだろうハリーには、申し訳ないけれど。

「大丈夫よ。きっと何とかなるわ。だって、ハリーにはあなたがついてるんだもの」

ハーマイオニーがポッと頬を染める。お世辞や慰めではなく本心からの言葉だった。
危険な課題のことは心配だ。ハリーだけじゃなく、セドリックやクラム、それにフラーも。でも、彼らはレイチェルよりずっと優秀な人達で……それに、ハリーにはハーマイオニーがついている。賢くて優しい、レイチェルの自慢の友達。ハリーにとっても、きっと彼女の存在は心強くて、頼りになるだろう。だからきっと、大丈夫だ。

 

 

「アンジェリーナ、パス!」
レイチェル、そっち回って!」

その日の夕方、レイチェルはグリフィンドール生達のクィディッチに混ぜてもらうことになった。クィディッチとは言っても────正式な届出をした寮チームの練習でないとブラッジャーやスニッチは貸してもらえないので、使えるボールはクアッフルのみ。ポジションも、チェイサーとキーパーだけ。レイチェルの他はフレッドとジョージ、それにリー。アンジェリーナとアリシア。ジニー。ハーマイオニー。そして……ハーマイオニーとレイチェルが誘われたときに図書室に居たクラム。9人居るので、4対4に分かれて余った1人が交代で審判。50点先取のミニゲームだ。

「いっちゃえ、ジニー!」
「あー、惜しい!」
「こっち戻して! もう1回!」

アンジェリーナとアリシア、グリフィンドールが誇るチェイサー達のパス回しはさすがだ。それに、本来のポジションではなく、箒だってファイアボルトでは使っていないのに、クラムの箒捌きには誰も敵わない。ちょっとした気晴らしの遊びのはずなのに、想定よりずっとハイレベルな試合に、レイチェルはついていくだけで精一杯だ。

レイチェルって、こんなに飛べたんだね。箒は苦手なのかと思ってた」

5ゲームやって、1度休憩することになった。隣に座ったジニーが目をキラキラさせたので、そう言えばとレイチェルは気がついた。アンジェリーナ達とは下級生の頃よくこんな風にミニゲームをしたけれど、ジニーと箒に乗る機会って初めてかもしれない。

レイチェル、夏休みはいつもセドリックの練習に付き合ってるんだもんね」
「もったいないよね。選手になればいいのに。チェイサー向いてそうだけどな」
「ありがとう」

アリシア達もジニーに同意したので、レイチェルは微笑んだ。2人に褒めてもらえるのは嬉しいけれど、さっきのゲームでレイチェルが3回ゴールできたのは、たぶん……キーパーがハーマイオニーだったと言うのも理由だろう。以前本人からも聞いたことがあったけれど、箒は苦手らしい。柄の握り方についてクラムのアドバイスを聞く表情は真剣そのもので微笑ましい。

「今は遊びだからいいけど、試合だと緊張してあがっちゃうもの。それに……うちの寮チームって、グリフィンドールとはちょっと雰囲気違うし……」
「あー……ピリピリしてるよね。仲間って言うより、ライバルって感じ」

苦笑するアリシアに、レイチェルもその通りだと頷いた。
練習の多さや厳しさではグリフィンドールチームとそれほど変わらないと思うけれど、グリフィンドールと違ってレイブンクローチームは各ポジションに補欠が居る。確かビーターは3人、チェイサーは5人だ。レギュラーになっても調子が悪いと交代させられるし、グリフィンドールやハッフルパフのようにメンバー皆が仲良し……と言う感じではない。仲が悪いわけでもないみたいだけれど。だからそう。まだ2年生の頃からずっとレギュラーのロジャーって、実は結構すごい。

「私より、ジニーの方がずっと上手よ。選手には興味ないの?」

さっきの試合でも、ジニーは大活躍だった。小柄ですばしっこいジニーは、上手く死角から入りこんであのクラムからクアッフルを奪ったのだ。力が必要なビーターや、大柄な方が向いているキーパーは難しくても、チェイサーとしてなら今すぐでも活躍できそうだし、体格的にシーカーにも向いていそうだ。

「んー……去年は、ウッドが今のメンバーを変えたくないって選抜試験自体なかったでしょ。今年は募集があったら受けようか迷ってたんだけど……その前にまず、ママを説得して競技用の箒を買ってもらわないと」

怪我したらどうするのって反対してるのよねと、ジニーが唇を尖らせた。確かにクィディッチは荒っぽいスポーツだし、競技用の箒って高い。今はアンジェリーナの昔使っていた箒を借りているみたいだけれど、選手になったら自分の箒が必要になる。

「次のキャプテンって誰になると思う? オリバーが卒業しちゃったから、今年誰か選ばれるって思ってたけど、誰にもバッジ来なかったじゃない?」
「たぶんフレッドかジョージのどっちかじゃない?」
「えーっ、ヤダ! アンジェリーナがやってよ!」
「『やってよ』って言われても。選ぶのマクゴナガルだし」

他寮生であるレイチェルは知らなかったけれど、どうやらグリフィンドールチームのキャプテンは空席らしい。新しいキーパーが決まったと言う話も聞かないから、たぶんキーパーも。当たり前だけれど、来年にはウッド以外の誰かがグリフィンドールのキャプテンやキーパーになるのだと考えると、何だか奇妙な感じだ。

「オリバー、元気にやってるかなあ」
「夏休みには、試合見に行けるといいよね」

そして────こんな風にウッドの名前を聞いても動揺せず、落ち着いていられる自分も。
レイチェルはぼんやりと空を見上げた。プロの選手になったウッドも、もしかしたら今頃はこんな風に箒に乗っているかもしれない。あのクラムと一緒にクィディッチをやったと聞いたら目をキラキラさせて羨ましがりそうだな、なんて考えて、レイチェルはクスクス笑ってしまった。

「あーあ。ちゃんとした試合やりたーい! ミニゲームも楽しいけど、これじゃ勘が鈍っちゃう」
「同感」

芝の上へと仰向けになったアリシアに、アンジェリーナが苦笑した。ミニゲームでも雰囲気は出るけれど、実際の試合ではブラッジャーの妨害がある。チェイサーのアリシア達からすると、クアッフルを投げ合うだけと言うのは物足りないのだろう。

「今年試合できないの、正直痛いよね。対抗試合があるって言っても、別に競技場を使うわけじゃないみたいだし……リーグ中止にしなくてもいいのに」
「どこかのチームに練習試合頼んでみる? ハッフルパフ……は難しいか。セドリック、忙しいだろうし……レイブンクローならオーケーしてくれるかも。 レイチェル、聞いてみてくれない?」

レイチェルは勿論だと頷いた。そう言えば、ロジャーも休暇明けから寮チームの練習を再開したと言っていたから、アリシアの提案はロジャーにとっても願ってもないこともしれない。それに、セドリックも……他の寮チームが練習試合をすると聞いたら、「ハッフルパフもぜひ参加したい」なんて言いそうだ。

「スリザリンは? アリシア、マイルズに頼んでみてよ」
「えぇー……うーん……まあ、どうしてもってことなら聞いてみてもいいけど……」
「何? また喧嘩したの?」
「”また”って言わないで!」
「って言うか、試合するならシーカーどうする? ハリーはそれどころじゃなさそうだし」
「それよりキーパーよ! 誰か上手い人見つけないと……来年も絶っっっ対スリザリンには優勝杯渡したくないもの!」
「早めに決まるといいよね。できたら、今のうちから練習して合わせておきたいんだけどな……」

来年のクィディッチリーグの話題に、レイチェルは瞬いた。
ロジャーにとっても、アンジェリーナやアリシア、それにフレッドとジョージにとっても────セドリックにとっても、最後のクィディッチリーグ。勿論、レイチェルにとっても。やっぱり自分の寮に勝ってほしいけれど……でも、セドリックも応援したい。いや、でも、一般的には恋人のことを1番に応援するべきなのだろうか?ジョージだけじゃなく、アンジェリーナ達や、ハリー……ドラコのことだって応援したい。つまり、どの寮も。

「お嬢さん達」

困った、とレイチェルが頭を悩ませていると、そんな声が響いた。顔を上げると、フレッドとジョージがすぐ近くに立っていた。フレッドが競技場の向こうを手で示したので、つられてそちらへと視線を向ける。ボーバトンとダームストラングの制服の男の子達が数人立っていた。

「よかったら混ぜてほしいってさ。オーケーしても構わないかい?」
「いいんじゃない? 大勢の方が楽しいし!」
「やろやろ! チームどうやって決めよっか?」

フレッドの提案に、アンジェリーナ達がニッコリした。どうやら、そろそろ休憩は終わりのようだ。レイチェルも箒を手に持って、立ち上がって────ふと、前に立っているジョージの首元が気になってしまった。

「ジョージ。ネクタイが……」
「ん? あー……いいよ、別に。気にしないし」
「あなたが気にしてなくても……マクゴナガル教授はすごく気にすると思うわよ」

元々きっちり結んでいないから、クィディッチをしているうちに緩んでしまったのだろう。もしくは、動いて暑くなったから自分で緩めたのか。どちらにしても、ちょっとだらしない。友人達だけならともかく、他校生も居るのなら制服はきちんと着るべきだと言うと、ジョージは悪戯を思いついたような顔でニヤッと笑ってみせた。

「じゃあ、君が結んで」
「もう……」

甘えるようなジョージの口調に、レイチェルは小さく溜息を吐いた。
直すようにと言った手前、「じゃあそのままで居れば」とも言いにくい。ジョージのネクタイへと手を伸ばす。そう言えば、前もこんなことがあった気がする。あれはいつだったっけ? ジョージだって、絶対自分で結べるはずなのに……。そして、やっぱりちょっと照れてしまう。他人のネクタイを結ぶのって、自分のとは勝手が違って難しいし。モタモタとレイチェルが指を動かしていると、ジョージが耳元へと顔を寄せた。

「キスしてもいい?」

小さく囁かれて、レイチェルは息を詰めた。言われてみれば確かに、これってキスするときとあまり変わらない距離感だ。改めてそう言われると、変に意識してしまう。でも、今はいつもと違って2人きりじゃない。たぶん、ジョージも断られるとわかっていて聞いている。

「……今はダメ」
「じゃあ、また後で」

結び終わった、とレイチェルが見上げるとジョージが頬にキスをしてきたので、レイチェルは慌てて頬を押さえた。今の、誰かに見られていなかっただろうか。心配になってキョロキョロと辺りを見回すと……アンジェリーナ達と思い切り目が合ってしまった。

「あのさ、レイチェル。ちょっと……ジョージのこと、甘やかしすぎじゃない?」
「そ、そう……?」
「あんなの、『馬鹿なこと言ってないで自分でやれ!』って怒っていいのよ!?」
「嫌なことはちゃんと嫌って言っていいんだからね」
「フレッドもだけど、ジョージってかなりマイペースでしょ? 大丈夫? 我慢してない?」

てっきり冷やかされるかと思ったのだけれど、予想外に気遣わしげな視線を向けられて、レイチェルは戸惑った。2人の言う通り、ジョージは────そしてフレッドも────かなりマイペースだ。実際、レイチェルがジョージの言動に振り回されてしまっているのは事実だけれど。

「あの……2人が心配してくれるのは嬉しいけど……大丈夫。ジョージはマイペースだけど……その、いつもはすごく優しいし……」

でも、それはたぶん、ジョージのせいだけではなくて。レイチェルが恋人とのスキンシップに慣れていないのも原因だ。サプライズに驚かされることは多いし、時々強引だし、困ることもあるけれど、ジョージなりにレイチェルを喜ばせてくれようとしているのがわかるから、嫌じゃない。ジョージの気まぐれな言動にレイチェルが我慢しているように見えるとしたら、それは誤解だ。
あんな風に甘えられるのも……大体いつも突然だから戸惑ってしまうけれど、気を許されている感じがして、嬉しい。ジョージ本人には、恥ずかしくて言ったことがないけれど。

「ふぅん」
「そうなんだ」

アンジェリーナとアリシアが今度こそ楽しげにニヤッとしたので、レイチェルはしまったと視線を泳がせた。

 

 

「そう言えば、結局レイチェルのコイバナって聞けてない!」

アリシアのそんな発言により、週末も彼女達と過ごすことになった。とは言っても、レイチェルはグリフィンドールの談話室には入れないし、大広間は秘密の話には不向きだ。図書室で騒ぐとマダム・ピンスに叱られてしまうし、外で過ごすにはまだ寒すぎる。アンジェリーナ達に連れて行かれたのは、占い学の教室だった。アリシアがトレローニー教授と仲良しなので、いつでも入れるよう許可をもらっているらしい。北塔のてっぺんにあると聞いたことはあったけれど、レイチェルが来たことがなかった。
銀色のはしごを上っていくと、そこは風変わりな空間だった。古い屋根裏部屋のような、どこか懐かしい感じがする場所だ。たくさん並んだ丸テーブルには深紅や濃紺のベルベットのクロスがかけられていて、その上に置かれたランプもやっぱり暗い赤のスカーフで覆われていた。そのせいで、部屋のそこかしこが深紅の光で照らしだしている。濃い紫や青のサテンの肘掛椅子はふかふかしていて、座り心地がいい。棚にはたくさんのティーカップやカード、真鍮の燭台なんかが並んでいた。それに、キラキラ光る水晶玉もたくさん。親戚の家にもあったけれど、まだ小さかったから触らせてもらえなかった。マグル学と時間が被っていたから諦めたけれど、やっぱりレイチェルも占い学をとりたかったな、なんてちょっと残念に思ってしまう。

「それでね、マイルズったら、 『付き合って1ヶ月は待ったから、これぐらいならいいかと思った』なんて言うのよ!信じられる!?」
「それで……どうしたの?」
「どうもしないわ……突き飛ばして、そのまま置いてきちゃった」

レイチェルとジョージの話を聞くのだと意気込んでいたものの、いざおしゃべりが始まるとアリシアはマイルズとの愚痴が止まらなかった。先日のホグズミードで仲直りしたと思っていたけれど、どうやらまた一悶着あったらしい。

「あーあ。彼氏できたら、もっと楽しいものだって思ってたのに! こんなに喧嘩ばっかりって、付き合ってる意味ある?」
「そう思うなら、もっと穏やかな性格の人と付き合えば? ホグワーツに居る男子はマイルズだけじゃないし」
「それは……そうかもしれないけど。でも、たまに……たまにね? 優しいときだってあるし……」
「別れる気はないんでしょ。マイルズとちゃんと話しなよ」
「わかってるわよ……アンジェリーナの意地悪。私だって、好きで喧嘩してるわけじゃないもん……」

アリシアがすっかり元気をなくしてしまったので、何か気分転換になることをすべきだとアンジェリーナが提案し、レイチェルもそれに賛成した。慣れないせいか、蒸し暑さと、部屋に充満する独特の甘い香りに意識が朦朧としかけていた。

「リー、そこはダメ! 崩れる!」
「あーっ、爆発した!」
「また俺達の勝ちだな。じゃあ、罰ゲーム」

アリシアの希望により、大広間で爆発スナップをして過ごすことになった。リーやフレッドにジニー、ジョージ……それに、レイチェルが初めて会う何人かの4年生の男の子達も一緒だった。ネビルにシェーマス、それにディーン。

「休日だし、人少ないから大丈夫だよ。ここで食べちゃえば?」
レイチェルはほら、ジョージの隣!」
「えっ、でも……私、グリフィンドール生じゃないし……」
「皆やってるよ。休日なら先生達も気にしてないって」

気のいいグリフィンドール生達と過ごす時間は楽しかった。クィディッチより会話が多い分、友人達と一緒に居るときのジョージの様子が何だか新鮮だ。グリフィンドールには友人も居るけれど、こんな風に大勢で過ごす機会はなかったから。

「ね……ジョージ。聞いてもいい?」

そして────“女友達”と一緒に居るジョージを見ていたら、気になることができてしまった。空き教室で2人きりになったところで、答えたくなかったらいいんだけど、と前置きしてレイチェルは隣に座るジョージの顔を見つめた。

「ジョージって……いつから、その……私のこと好きだったの?」

改めてこの質問をするのって、何だか照れくさい。でも、気になる。
アンジェリーナ達に対するジョージの態度って、すごくサッパリしていると言うか……レイチェルに対してとは全然違う。“恋人”になって態度が変わったことを差し引いても、“ただの友達”だった頃とも。彼女達とレイチェルは性格も違うし、付き合いの長さも関係しているだろうけれど。ジョージがレイチェルを“女の子”として見るようになったのって、一体いつからなのだろう?

「入学したときからってわけじゃないでしょ? やっぱり、ダンスパーティーでパートナーが必要になったから、私を誘ってくれたの?」
「あー……」

何となくだけれど、ジョージの方が先にレイチェルを意識してくれていたのかな、と思う。予想だと、ダンスパーティーの少し前くらい……6年生になって少し経ったあたりから。それが、「ちょっと気になる」程度か、はっきりとした好意だったかはわからないけれど。

「下級生の頃は……まあ、俺も……君はそのうちセドリックと付き合うんだろうなって思ってた」

それはそうだろう、と思う。下級生の頃はジョージ……と言うか双子には、セドリックとの仲をよくからかわれていたし。だからこそ、思わせぶりなことをされても、またからかわれているだけかと戸惑ったのだ。

「去年……空き教室で、君、泣いてただろ。そのときの泣いてる顔が、何て言うか……気になってさ。それから、君のことよく目で追うようになった」

レイチェルは目を見開いた。その出来事は、確かに覚えがある。正直忘れていたかったし、ジョージにも忘れてほしいと思っていたのだけれど……まさか、ジョージにとってはそれがきっかけだったなんて。

「……何だよ」
「その、思ったよりずっと前からだったから……ちょっと意外で……」

あれはいつだったっけ? 確か、OWL試験より前だ。あのときはセドリックとウッド、それに試験のことで頭がいっぱいだったから、全然気が付かなかった。と言うことはつまり、あのときとか、あのときとか……夏休みに会ったときも、ジョージは既にレイチェルのことを女の子として見ていたのだろうか?

「意外……まあ、そうだよな。君は俺が他の女子とパーティーに行くと思ってたんだもんな」
「う……ごめんなさい」

レイチェルは視線を泳がせた。ジョージがパートナーにと誘ってくれたあの瞬間まで、レイチェルはジョージにからかわれているだけだと思い込んでいた。そんなに前からジョージがレイチェルのことを意識してくれていたなんて、知らなかったから。

「いいよ。それでも、結局は俺を選んでくれただろ」

冗談めかした口調だけれど、レイチェルを見るジョージの表情は柔らかかった。ジョージは、時々こう言う……小さなフワフワの子猫か何かを見るような目をするから、どうしていいかわからなくなる。こう言う目でレイチェルを見るときは、大体とびきり甘いキスをされるから。

「だって……一緒にパーティーに行くなら、ジョージがいいって思ってたんだもの」

深くなっていくキスの合間にレイチェルが呟くと、ジョージが目を丸くした。今更改めて口にするのは恥ずかしいけれど、ジョージは打ち明けてくれたのだから、レイチェルだけ黙っているのはフェアじゃない。

「他の女の子に誘われてるところを見なかったら、私から誘おうと思ってたし……」
「へぇ。初耳」

そう言えば、ジョージには言ってなかったかもしれない。でも、事実だ。あのときはまだ自分の気持ちがわからなかったけれど、それでもジョージを誘おうと思っていた。こんな風に恋人同士になって、キスをしたりする、と言うところまでは考えられていなかったけれど。

「あ……」

キスに耽っていたせいで、鞄に足が当たってしまったらしい。留め金が外れていたのか、床に倒れた鞄から本や羊皮紙が雪崩出す。その中に混ざっていたファッション誌を────正確には開いてしまったページのヘアアレンジの特集をジョージが興味深そうに眺めるので、レイチェルはちょっと気まずくなった。印をつけた部分をまじまじ見られるのって、舞台裏を覗かれたようで恥ずかしい。

「これ、いいな。似合いそう」
「ありがとう……でも、これ、自分じゃ上手くできなくて……」

ジョージはレイチェルの髪を気に入ってくれているみたいだし、髪型を変えると褒めてくれるから、色々ヘアアレンジを試そうと努力しているのだけれど……複雑なものは自分では上手くできない。パメラは器用だけれど、あまり頻繁に頼むのは申し訳ないし。

「やってやろうか?」
「えっ? ……ジョージが?」
「ジニーの髪を結んでたし、上手いもんだぜ。道具ある?」
「あるけど……」
「じゃ、ここ座って」

そう言って、ジョージが自分の膝の間を示す。レイチェルはちょっと躊躇ったものの、せっかくの提案なので結局はその通りにした。背中にジョージの体温や息づかいを感じるのが、何だかこそばゆい。ジョージが手にした櫛が、レイチェルの髪を梳いていく。

「……何だか、すごく大事にされてるみたい」

髪に触られることは今までもあったけれど、こんな風にされるのって初めてだ。自信たっぷりな態度だけあって、ジョージは慣れた様子だった。セドリックにもたまにやってもらうけれど、それよりたぶん上手だ。長い指が、器用に髪をまとめていく。すごく丁寧な手つきで────何だか、お姫様になった気分だ。

「……“みたい”じゃなくて、大事にしてるだろ」

レイチェルがクスクス笑うと、ジョージが憮然とした口調で小さく呟いた。不本意だと言いたげなその響きに、レイチェルはちょっと反省した。確かに、“みたい”なんて言うのはジョージに対して失礼だったかもしれない。

「……ええ。そうよね」

大事にしている────そんなジョージの言葉に、アリシアの話を思い出した。アリシアとマイルズはレイチェル達とほぼ同じタイミングで付き合い始めたけれど、マイルズはスカートの中に手を入れようとしてきたらしい。アンジェリーナとフレッドは、まだキスまでだと言っていたけれど……他にも、同級生の噂は色々と聞こえてくる。残念なことに、いい噂ばかりではない。『1回したら、彼がそればかり求めて来る』とか、『まだ無理だと断ったら、別れ話になってしまった』とか。

……ジョージもやっぱり、キスの続きがしたいと考えているのだろうか?

付き合い始めて、あっと言う間に1ヶ月が過ぎた。まだ先だと思っていたバレンタインまでも、もう2週間しかない。それを過ぎたら、すぐ付き合って2ヶ月になる。でも、やっぱり……レイチェルは自分にはまだ早いと思ってしまう。クロディーヌには、他のカップルと比べて焦る必要はない、なんて言われたけれど。3ヶ月とか、半年とか……もっと長く一緒に過ごしたら、いつか「もう大丈夫だ」と思えるのだろうか?

『好きな子が側に居たら、触りたくなるだろ』

こんな風に密室で2人きりになるのも、もしかしたらジョージからすると……えっと、何だっけ……“生殺し”かもしれない。レイチェルには男の子の気持ちはわからないけれど、もしかしたらジョージに我慢させてしまっているのだろうか? ジョージは何も言わないけれど、レイチェルから「いいよ」と言うのを待っているのかも。
周りにはとっくに済ませている子だって居るし、レイチェルももうすぐ17歳だ。そう言うことに興味だってないわけじゃないけれど……でも、まだ怖い。

『男の子の前であんまり無防備すぎると、勘違いさせちゃうわよ』
『いくら付き合ってるからって、こんな夜遅くに2人きりなんて……』

いつの間にか、ジョージと過ごす時間が当たり前になって、2人で居ても……キスのときも、以前ほど緊張しなくなった。恋人とは言え、男の子と2人きりで過ごすのなら、もっと警戒するべきなのだろうか?
でも、と思い直す。警戒なんて、しなくても大丈夫だ。だって────ジョージはたぶん、レイチェルが嫌がることはしない。

「私ね……初めての恋人が、ジョージでよかった」

大事にされている。その通りだと思う。それはたぶん、無理に関係を進めようとしないことだけじゃなくて。
いつだって、レイチェルに触れるときは、壊れ物を扱うみたいに優しい。「可愛い」と囁く声も、レイチェルを見つめる瞳も。ジョージの目に映るレイチェルは「可愛い女の子」なのだとわかるから、ジョージの前だと意地を張っているのが難しくて、肩の力が抜けてしまう。卵の殻を剥がすみたいに、レイチェルの心を覆っていた硬いものが、ジョージの前だと少しずつ柔らかく緩んで、溶けていくのがわかる。

この人はきっと、レイチェルを傷つけない。

怖がらせないように、爪を立てないように。いつだって、気にかけてくれているのがわかる。レイチェルの体に触れるときも。心に触れるときも。セドリックとの────“幼馴染”と言う関係だって、ジョージにはきっとわからないのに。理解しようとしてくれている。「セドリックのことが大切なレイチェル」を受け入れようとしてくれている。レイチェルの気持ちを、言葉を尊重してくれる。今、こうして髪に触れる手つきと同じ。丁寧に、大切に扱おうとしてくれるのがわかるから。レイチェルもジョージを大切にしたい。
髪を梳く手の心地よさに、レイチェルはそっと瞼を閉じた。指先から、皮膚の重なったところから、柔らかな熱が伝わって来る。ジョージの体温はセドリックよりも少し低くて────ホッとする。

セドリック以外の男の子の腕の中で安心できるなんて、思わなかった。

あなたは優しい

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