11月も中頃になった。吸魂鬼や優秀な教授達、そして好奇心旺盛な生徒達が目を凝らしても、相変わらずシリウス・ブラックは一度も姿を目撃されるどころか、足跡一つすら見つからなかった。誰かがローブの下にブラックを隠しているんじゃないかと言いたげに上空を飛びまわっていた吸魂鬼達もようやく通常の警備に戻り、ハロウィン以降続いていた恐慌状態はようやく収束しつつあるように思えた。もっとも、生徒達がシリウス・ブラックの話題を口にしなくなったのは、もっと強い関心事ができてしまったせいだった。
「今年こそグリフィンドールが優勝するぞ!」
「スリザリンは7年連続優勝だぜ。今年もスリザリンに決まりだ」
「それは聞き捨てならないな。レイブンクローだって負けてないぞ」
「馬鹿言え!グリフィンドールだ!何てったってあそこにはハリー・ポッターが居るんだ!」
クィディッチリーグの開幕戦が近付くにつれて、校内の空気は目に見えて浮き足立っていた。しかも初戦は伝統のグリフィンドール対スリザリン。前回優勝と今季の優勝最有力候補だ。今季のグリフィンドールがここ数年でも最高のメンバーだと言うのは誰もが知っている。廊下のあちこちでクィディッチ談議に花が咲き、時には口論がヒートアップして呪いの応酬にまで発展するので、監督生のエリザベスは大忙しだった。
「とりあえず開幕戦の結果はもう決まったも同然よね!スリザリンはペシャンコよ!」
「パメラ……お願いだから、もう少し声を落として……」
スリザリン嫌いのパメラは試合が待ち遠しくて仕方ないらしい。その声が結構大きかったので、レイチェルは隣のスリザリンのテーブルにまで聞こえてしまったんじゃないかとハラハラした。レイチェルが溜息を吐いていると、クスクスと誰かが笑う声がした。声の主────チョウは、レイチェルの視線に気がつくとニッコリ笑ってみせた。
「私もパメラと同じよ。初戦はグリフィンドールが勝つと思うわ」
「……チョウもそう思うの?」
「ええ。だって、スリザリンのシーカー、今怪我をしていて練習には出てないみたいなの。本番だけ出るにしても、代わりのシーカーを見つけるにしても、今のグリフィンドールには勝つのって難しいもの」
なるほど。確かに、まだ腕に包帯を巻いているドラコは当然練習に参加できるはずもない。加えてアンジェリーナから聞いたところによれば、グリフィンドールは雨の日も風の日もクィディッチの練習を欠かさないのだと言う。となれば、確かにグリフィンドールが圧倒的に有利なのだろう。
「ああ、チョウの言う通りだ。開幕戦、スリザリンがグリフィンドールに勝つ可能性はゼロだ。全財産賭けても良い」
「ロジャーまで……」
どうやら朝のキャプテン会議から戻って来たらしい。空いていたレイチェルの隣の席へと座ったロジャーは自信たっぷりにそう言った。しかし、全財産賭けてと言うのは流石にちょっとオーバーな気がする。レイチェルが怪訝な視線を向けると、ロジャーは肩を竦めてみせた。
「グリフィンドールの初戦、スリザリンじゃなくてハッフルパフになったんだ」
「え?」
「たぶんフリントの奴、この雨の中で試合するのが嫌だったんだろうな。そろそろ掲示も出てるはずだぜ」
ロジャーの言葉はその通りで、朝食を終えて大広間を出ると早速マクゴナガル教授が掲示を貼っているところに遭遇した。急な、そしてこんなギリギリになっての試合変更に、周囲はざわついていた。選手の怪我で延期になることは時々あっても、対戦相手が変更になると言うのは珍しい。
「ねえ、セド。どう言うこと?」
クィディッチの開幕戦と言うのはグリフィンドールとスリザリンと言うのが伝統だ。少なくともレイチェルが入学してからはずっとそうだった。それが急遽変わると言うのは何かしらの理由がある。廊下で見かけたところを呼び止めて問い詰めると、セドリックは困ったように眉を下げた。
「スリザリンのシーカーの怪我まだ治らないらしいんだよ。開幕戦は今週末だろう?マダム・ポンフリーの見立てじゃそれまでには治るって話だったからフーチ先生は予定通り試合ができるって考えてたらしくて……今日になってフリントが試合の延期を申し出て、レイブンクローかハッフルパフが代わりにできないかってことになったんだ。それで……僕がオーケーした」
「……なるほどね」
いきさつを聞いてみれば、何ともお人好しのセドリックらしい。気まずそうにモゴモゴと言葉を濁すセドリックに、レイチェルはとりあえずの溜飲を下げた。事情はわかったし、納得はした。しかし、それでもやっぱり心配なのは変わらない。
「いきなり試合って……大丈夫なの?だって……」
「不安はあるよ。でも、もう決まったことだし……ベストを尽くすよ」
予定外の試合をいきなりやれと言うのは選手にとっては結構な負担だ。しかも、前回ハッフルパフがグリフィンドールと対戦した時────去年は継承者騒ぎのせいで試合自体なくなってしまったからもう2年も前だが────ハッフルパフは何と言うか、惨敗した。あのときとはメンバーも変わっているとは言え、グリフィンドールはますます手強くなっていることは間違いない。
「……頑張ってね」
「うん。ありがとう」
色々言いたいことはあったが、レイチェルに言えるのはそれだけだった。セドリックが力なく微笑む。
もう決まってしまったことなのだから、レイチェルがぐちゃぐちゃ言っても変わらない。不安なのはレイチェルよりセドリックの方だろうし、レイチェルが何か言うことで余計なストレスを与えることは避けたかった。だから言わなかった。
「それってどう考えたってハッフルパフが不利じゃない」
スリザリン相手の戦術を考えていたのに突然対戦相手が変更になったグリフィンドールも大変だろう。しかし、対戦相手が変更になった上、試合は月末だと思っていたのに急に試合をしなきゃいけなくなったハッフルパフの方が大変に決まっている。あの2年前の試合よりひどいことになってもおかしくない。
ロジャーも同じようその場に居合わせたが、今頃言われても無理だと断固拒否したらしい。スリザリンが代打のシーカーで試合をやればいいと言うのがロジャーの意見だ。正論である。しかしフリントは拒否。そうなると、セドリックが引き受けなければリーグの日程そのものがズレてしまう。セドリックの性格を考えれば、断れるはずがない。優しいのはセドリックの美徳だが、お人好しすぎる。
ベッドに寝転がってブツブツ言っていると、隣のベッドに誰かが倒れ込む気配がした。
「あーもう最悪!スネイプの奴、代理のくせに何だってこんなめんどくさい課題出すのよ!」
パメラだった。どうやら、スネイプ教授の出した課題に煮詰まったらしい。
珍しいことと言えば、これもだった。今日の午後の防衛術はルーピン教授が体調不良で欠席だったので、代わりにスネイプ教授が講義を行ったのだ。教授の体調不良で授業がキャンセルされることはこれまでも何度かあったが、代わりに別の教授が教えると言うのは初めてだ。今年に入ってから防衛術の授業を楽しみにしていたパメラにとって、ドアを開けたら苦手な教授が居たと言うのはちょっとしたホラーくらいの衝撃だったらしかった。
「2人とも……そろそろ行かないと授業に遅刻するわ」
2人でベッドをごろごろしているとエリザベスの溜息が降って来たので、レイチェルとパメラはしぶしぶ支度をして、重い足取りで天文学の教室へと向かった。
昼間のひどい雨は止み、澄みきった夜空は絶好の天文学日和だったが、レイチェルはクィディッチの開幕戦のことが気になって集中できなかった。空のてっぺんに浮かぶ美しい満月にも、レイチェルの心は晴れなかった。
土曜日の朝、レイチェルは雨がガラスに叩きつける音と、風の唸りで窓がガタガタ言う音で目が覚めた。
ここのところの天気よりも輪をかけてひどい、最悪の天気だった。嵐と言っていいかもしれない。あと数時間後にはセドリックやハリー・ポッター達はこの中でプレーをするのだと思うと、心配になってしまうほどだった。
「よかったじゃない、レイチェル。この天気ってセドリックには有利かもよ?ほら、体格を考えたらハリー・ポッターよりもコースアウトする確率が低いじゃない」
「ポジティブに考えればね。でも……そもそもこの雨で簡単にスニッチを見つけられると思う?」
「悪天候の試合は、何が起きるかわからないってお兄様がよく言っているわ。選手は傘を差せないでしょう?長引けば体も冷えて来るし……風邪をひいてしまわないか、心配ね」
エリザベスの溜息が、紅茶を揺らす。自分がプレイするわけでもないのに、レイチェルはいまひとつ朝食が喉を通らなかった。
こんなひどい雨の中の試合なんて滅多にない。一体どんな展開になるのかと、大広間は試合への期待と興奮で騒がしかったが、そんなおしゃべりの声も一歩城の外へと出た瞬間に雨音にかき消されてしまった。そうでなくても、吹き付ける風に傘どころか体こと飛ばされそうになるので、楽しくおしゃべりをするような余裕はなかった。
ようやく競技場に辿りつく頃には、髪も服もびしょ濡れだった。応援のための横断幕も水を吸っていつもより重たくなり、魔法で咆哮を上げるはずのライオンはどことなく元気がないように見えたし、元気に跳ねまわるはずのアナグマも隅っこで丸くなってしまっている。誰もが寒さに震えていたが、試合の始まりを待つ生徒達の目は爛々と輝いていた。こんな嵐くらいじゃ、ホグワーツ生達のクィディッチへの情熱は冷やせはしないのだ。
「────が────たわ」
「え?何て?」
パメラが何かを言っているのがわかったが、ますます強くなってきた雨音のせいでよく聞こえない。音どころか、目の前さえもよく見えなかった。エリザベスが双眼鏡に防水呪文をかけてくれたが、あまり意味はないように思えた。前の人の傘で視界が狭くなる上に、強すぎる風で雨が斜めに降るので、競技場の向こう側が白く霞んで見えた。
「選手――――が――――入って――――来た、わ!」
パメラが声を張り上げる。その瞬間、フィールドのあちこちからわあっと歓声が上がった。向かって右から真紅のローブのグリフィンドールの選手達、そして左から黄色のローブのハッフルパフの選手達がフィールドに現れた。風が強いせいで、歩くのも大変そうだ。
「レイチェル、セドリックはどれ?」
「えっと……あれ!ハッフルパフの先頭!」
パメラの問いに、レイチェルも声を張り上げる。リー・ジョーダンの解説も風にかき消されてしまうので、今日の試合は自分の目で判断するほかない。この距離では小さな人影にしか見えないが、レイチェルにはどれがセドリックかだけはわかった。そしてたぶん、真紅の集団の中で一番小さいのがハリー・ポッターだ。一番背が高いのがウッド、赤毛の2人がフレッドとジョージだ。アンジェリーナはわかったが、アリシアとケイティ・ベルはどっちがどっちか判別がつかない。
しばらくすると、甲高いホイッスルの音が微かに聞こえた。試合が始まったのだ。
選手達が空中に散り、飛び回る。流石と言うべきか、この雨の中でも、選手達は各々自分のやるべきことに集中していた。お互いの姿もよく見えないだろうに、グリフィンドールのチェイサー達は抜群の連携で早速先制点を入れた。ハッフルパフは防戦一方だが、時折攻撃の機会もあり────キーパーのウッドが全て止めてしまったが────思ったよりも善戦している。
「いよいよ荒れてきたわね」
パメラの言葉はその通りで、雨や風はますます強まって来ていて、とうとう雷まで鳴り出した。
そんな天候にも負けず、グリフィンドールがまた加点した。これで40点差だ。チェイサー達の動きは素晴らしかったが、代わりにハリー・ポッターの動きが今ひとつのようだった。小柄な彼は風に煽られるのか、いつもと違って危なっかしい飛び方だった。おまけにブラッジャーにぶつかりそうにもなっていたので、レイチェルは見ていてハラハラした。
グリフィンドールが5度目のゴールを決めたところで────ウッドとセドリックどちらが要求したものかはわからないが────タイムアウトがあった。その間にレイチェル達観客は、一息つくことができた。雨のせいで体がかじかんでいた。レイチェルは指先を擦り合わせた。濡れた服がどんどん体温を奪っていく。雨の中にただ立ちつくしていると、やっぱり体が冷えてしまう。傘を差してしっかり防寒対策をしているレイチェルでさえこうなのだから、選手達はきっともっと寒いだろう。風邪をひかなければいいけれど。
濡れて額に貼りついた前髪を払って、レイチェルはふと競技場の向こう側へと目を留めた。
「……シャール?」
「どうしたの、レイチェル?」
「今、シャールが居たような気がしたの」
あっち側の観客席の一番上に、大きな黒い犬の影が見えたような気がした。けれど、瞬きをした次の瞬間にはもういなくなってしまっていた。
レイチェルがもう一度よく見ようと目を凝らしたとき、ホイッスルの鋭い音が鳴り響き、試合が再開された。気のせいだったのだろうか。まあ、この雨の中を、わざわざこんなに遠いところまで来るとは考えづらいし、見間違いかもしれない。今は試合の応援に集中だ。
タイムアウトによってお互いに作戦を練ったのか、試合は膠着状態が続いていた。ハッフルパフは相変わらずなかなかゴールを決めさせてもらえずにいたが、その代わりにビーターが上手く邪魔をしてグリフィンドールにもなかなかクアッフルを渡さなかった。去年とは違って、セドリックは随分ビーターの連携に力を入れたらしい。雨でよく見えないのがもったいないくらいの良い試合だ。
ひときわ大きい雷が鳴り、その音と眩しさにレイチェルは一瞬目を閉じた。そのときだった。
「ディゴリーがスニッチを見つけたぞ!」
誰かが叫んだのが、微かに聞こえてきた。もしかしたらリー・ジョーダンの解説だったかもしれない。その言葉に、レイチェルは双眼鏡でセドリックを探した。なるほど、さっきまでは上空で様子を窺っていたセドリックは、今ではスピードを上げて、何かを追いかけていた。ハリー・ポッターに対するフェイントと言う可能性もないわけじゃないが、スニッチを見つけたと考えるのが自然だ。セドリックの視線の少し先を追う。雨にまぎれて見えないが、確かに金色の光が見えたような気がした。あれがきっとスニッチだ。少し遅れて、ポッターもセドリックを追う。まるで彗星のような早さだった。セドリックの方がまだ少しリードしているが、追いついてもおかしくない距離だ。そして、気まぐれなスニッチがどう動くかは誰にもわからない。
観衆の興奮はいまや最高潮で、今や歓声は風の音にも負けていないように思えた。グリフィンドールとハッフルパフ、それぞれを応援する声で、まるで競技場のあちこちが爆発したかのように思えた。レイチェルも声を張り上げる。
「セド、頑張って!」
もう少しだ。もう少しでセドリックの手がスニッチに届く。あともう少し────あとたった5インチ────。
そのとき、奇妙な事が起きた。あれほどうるさかった雨音も風の音も、何もかも聞こえなくなった。セドリックの姿が見えない。急に出てきた霧で、レイチェル達の周囲の空気が白んでいた。隣に居るはずのパメラやエリザベスの姿さえよく見えない。
吐く息が白く曇っている。気温がさっきまでより5度は下がっているように思えた。指先から順に、体の芯まで冷たくなっていく気がした。寒い─────。さっきまでの興奮が嘘のように、心が空っぽになって行く。世界に一人ぼっちになってしまったみたいだ。この感覚を、レイチェルは前にも知っている気がした。確か、そうだ。これはホグワーツ特急でのときと同じだ。近くに吸魂鬼が居る、あの感覚だ。
誰かがレイチェルの腕に触った。びくっと肩が跳ねて────そしてそれがエリザベスだと言うことに気がついて、レイチェルはほっと息を吐いた。
「ディメンターよ」
エリザベスが囁く。レイチェルはわかっていると小さく頷いた。周囲はまだ霧がかっていたが、目を凝らせばその向こうの様子がぼんやりと見えた。競技場の地面に、不気味な黒い影のようなものが蠢いていた。あれが全て吸魂鬼だとしたら、少なくとも100人は居るんじゃないだろうか。レイチェルはぞっとして腕を擦った。
「危ない!」
誰かの叫び声に、レイチェルははっとして上空を見上げた。そうだ。試合はまだ続いていた。もはや精神力でプレーをしているのか、フレッドかジョージのどちらかが向かって来たブラッジャーを弾き返す。そんな中、上空を飛んでいた誰かが、箒から振り落とされて宙に放りだされた。
「ハリー・ポッターだ!」
真紅のローブの、一際小柄な影。意識を失ってしまったのか、ただただ真っ直ぐに落ちて行く。
あんな高さから落ちたら死んでしまう────レイチェルは息を飲んだ。
あと少しで地面とぶつかってしまうと言うそのとき、そのスピードが遅くなった。誰かが魔法でどうにかしたのだ。誰か────おびただしい数の吸魂鬼の他にグラウンドに立っているのは、ダンブルドアだった。そして杖を一振りすると、まばゆい銀色の光が周囲を包み、吸魂鬼達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。守護霊の呪文だ。
「流石ダンブルドアね!」
「ええ……あんなに強い有体守護霊なんて……素晴らしいわ……」
パメラが感心したように拍手し、エリザベスも賛同した。確かにその通りだ。あんな数の吸魂鬼をたった一人で追い払える魔法使いなんて、ダンブルドア以外には居ないだろう。
吸魂鬼達が遠ざかり姿が見えなくなると、立ち込めていた霧は薄れて、凍りつくような冷気も消えてしまう。レイチェルはほっと息を吐いた。これで、ひとまず一安心だ。
しかし、安心できないこともある。ハリー・ポッターは大丈夫だろうか?いくらダンブルドアが助けたと言っても、高い所から落ちたことには変わりない。クィディッチの試合は普通選手が箒から落ちようが何だろうが続行されるが、ハリー・ポッターが落ちたのは明らかにプレイ中の事故ではなく吸魂鬼の影響だ。こんな異常事態なのだから、試合はまた延期だろうか?
レイチェルがそんな風に考えていたそのとき、ホイッスルの音が鳴り響いた。選手達が地面へと降りてくる。タイムアウトだろうかと思ったが、両チームがフィールドの真ん中に集まったところを見ると、どうやら違うようだ。キャプテン同士────セドリックとウッドが握手をし、選手達はフィールドから去って行く。
「……もしかして、試合終了?」
パメラが首を捻った。レイチェル達観客には状況が把握できず、周囲が困惑でざわめき出す。
グリフィンドールのシーカーは箒から落ちてしまった。となれば、誰がスニッチを取ったのかなんて、答えは考えなくてもわかることだ。
レイチェルはスコアボードへと視線を走らせた。雨で霞んでよく見えないが、かろうじて読みとれた。さっきまでゼロだったはずのハッフルパフに加点されている。150対50。────決まりだ。間違いない。
試合は終わった。優勝候補のグリフィンドールを下して、ハッフルパフが勝利したのだ。